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最も参考になったカスタマーレビュー
4 人中、4人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
結びつけたのはポアンカレ,
By やすぽむ (兵庫県神戸市) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: アインシュタインとピカソ―二人の天才は時間と空間をどうとらえたのか (単行本)
アインシュタイン、ピカソ、という20世紀初めの天才が、なぜ、天才ぶりを発揮できたか、その経緯を、ポアンカレという当時のヨーロッパ大秀才の 「科学と仮説」という本に絡めて、大胆な仮説のもとに論じた科学的歴史解釈。 天才に必要だったもの、静かな孤独な時間。対話相手。そして、独創する ための、空間的イメージ把握とそれをつかった、思考実験。 アインシュタインにとっては、哲学とニュートン力学。 ピカソにとっては、20世紀までの古典主義とユークリッド空間、そして無限遠点図法。 これらが、ぶち壊すものだった。 そして、そこにポアンカレが登場する。 ポアンカレにとっては、「空間は幾何学空間と表象空間の2つ」がある。 ポアンカレにとって、絵画は3次元空間の2次元空間への投影である (それは、マーによって80年後に、逆変換される) 〈ポアンカレは、触覚空間、運動空間についても論じている) これが、ピカソのキュービズム形成に影響を与えた、 それには、多視点的、多面的、多次元的な観点があり、幾何学の 視点があった、そして、実験的精神があった、という主張。 これには、写真や映画などによって、空間と時間を多次元的に とらえていたに違いない、というミラーの独創的な解釈。 これが論点の一。 またポアンカレは、時間と光の速さについても論じた。 時計が複数あるときに、時間をどのように一致させるか。 この考察は、まさにアインシュタインが、ローレンツ理論を使って やったものと同様。 ただし、アインシュタインは、現実の知覚的 な時間、空間の性質を超越するために、現実の実験から離れて 心理空間を使った自分のイメージのみに頼った思考実験を行い、 遂に光の速さを絶対的に固定し、時間を相対化する、という ウルトラQ(思想の大転換)を行う。 つまり、時間と空間を可換にした。 特殊相対論の登場である。更に、これに至るまでの光量子理論と 他の1905年の奇跡の論文についても、それらの密接な関係を論じている。 更に、1908年の、2回目のウルトラQ, 同様に、宇宙からのエレベータと 自由落下による思考実験によって、加速度と重力を等価に見立て、 ミンコフスキー空間を使い、重力場の概念を作り、光が絶対的なもので なく、歪むもの、そして質量がエネルギーに変換されるところまで導く。 しかし、その理論化には、非ユークリッド的な、ミンコフスキー空間の 理解が必要だった。 一般相対性理論の完成まで、1915年まで必要だった。 このように、2人の天才の独創的理論と実験による創造の編み出し方が ここにある。 更にすさまじいのが、この本では、その後、ピカソもキュービズムを 追求せず、結果より抽象化した20世紀の絵画についていけず、時代遅れに なってしまったことや、 アインシュタインも、自らの思考実験にとらわれ(これはこれで具体的であったため) より抽象的な量子力学についていけなくなり、時代遅れになってしまったこと、それが、その後の名声と世俗化により、求道者的な時間と体力がなくなってしまったことが 原因のひとつであること、がここで論じていることだ。 勿論、いい線まで生きながら、結論に到達できなかったポアンカレ、 ローレンツ、そして相対論を理解できなかったプランク、その他の 物理学者が、なぜそうだったかの原因と、その頭の中と社会的状況、 またマチスやセザンヌが、どうしてピカソと似たようなことをしながら、 ピカソのレベルまで到達できなかったか、をも論じている。 ちなみに、ここから、創造性の法則やその臨床心理を説き起こそう、 という試みをミラーはしているが、まったく形式的すぎて失敗している。 臨床心理学を科学思考に適用するのが無理なのは、心理学の科学性 のなさからして明らかであろう。 ただし、アインシュタインの最初の 妻や、ピカソの女性がどのように天才に影響したか、この観点は考察の 余地がある。 また、天才が女癖が悪い、という観点からの記述もあるが、 才能とは何の関係もないただのスケベ心であろう。 いろいろな観点から見られる、大変面白い本だ。あと10回は読みたいものだ。
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