書店でコミックと思いこんで表紙買いしましたが、中を開くと早とちり、高校の吹奏楽部を舞台にした青春小説でした。
アニメ演出家として活躍している山本寛の処女長編です。
やたらと顔と口を出したがるOB、ちょっとしたきっかけでバラバラになる部の結束、時おり甘酸っぱい雰囲気が漂う練習合宿、充実した演奏が出来たつもりなのに意外な結果のコンクール…。
部活動で吹奏楽を経験した人なら「あるある」という記述が続々と出てきます。
文章表現やストーリー展開はやや生硬ですが、音楽をみんなで作り上げていく合奏の醍醐味を文字で表現することにはかなり成功していると思えました。
あと、登場人物の名前がやたらと凝ってて読みにくいなあと思ってたら、なるほど、古今の有名指揮者の名前をもじっているんですね。
主人公の頼場駆呂(らいば・かろ)はカルロス・クライバー。ヒロインの橋久奈(はし・ひさな)はハンス・クナッパーツブッシュ。
他にもたっくさん出てきますので、クラシックファンはぜひ探してみてください(有名作曲家兼指揮者の「奥様」をもじった名前もありますが)。
また、小説中に出てくる小編成の吹奏楽曲「ウィンクルム」(演奏時間約7分)を実際に書き下ろしたオリジナル曲(作曲:天野正道)が付録としてCDに収められています。
曲の音源(演奏:尚美ウインドオーケストラ)だけでなく、ビデオデータや、フルスコアとパート譜のPDFデータなども収録されています。
曲自体は非常にとっつきやすく、わずか23人の小編成できちんと盛り上がる演奏効果の高いものに仕上がっています。
吹奏楽のオリジナル曲の楽譜データに、小説がおまけで付いていると思えばものすごくお買い得な本です。