99.9%以上の子どもが、アイリスと呼ばれる能力を有して生まれてくる。
そんな「異能を持っていることが当たり前」の世界の中、「持たざる者」「欠落者」「アイリス・ゼロ」として生きていかざるを得ない一人の少年を主人公に据えた作品です。
描かれる能力に、「今日の夕飯のメニューが分かる」などといった日常レベルの、言ってみれば「くだらない能力」があったりするだけに、それすら持ち得なかった主人公の設定は残酷と言えるでしょう。
さらにはその他のメインキャラクターの能力も、「他人の適性が見えてしまう」「他人の嘘が分かってしまう」「生物の死期を知ってしまう」といった、ネガティブな要素を多分に含んだものをチョイスしているため、その傾向は一層強くなります。
にもかかわらず、この作品は暖かい。
世界観や能力の設定にこれだけ残酷なものを用いながら、その上でこれだけ優しい物語を作り上げたセンスに、多大な好感を覚えます。
主人公の「能力」も良いですね。
目立たないこと、注目を浴びないことを最優先に考えて生きてきたからこそ身に付いた、他人や事象に対する観察力・分析力・推理力。
そして、だからこそ「人の気持ちを思いやる」ことにも長けている。
こういう描き方は、個人的には非常に好きです。
・・・まあ、推理力云々に関しては少々「長けすぎ」なんじゃないかという気もしますけどw
というわけで☆5つ。