テルミン。それは、1920年代ロシアの天才発明家テルミン博士によって、発明された手を触れることなく演奏される電子楽器のはしりである。演奏家は、両手を二本のアンテナの間にかざし、音をキャッチする。故にその演奏には非常な困難を伴う。しかし、うまく奏された場合には、その何とも言えない音色が、脳の普段使われていない部分へと、染み込んで行く。このアルバムは、新しくて古いテルミンの音色が、やの雪さんの演奏によって、古楽器と絶妙なアンサンブルを醸し出し、古代から未来まで、空間に宇宙的広がりを創り出している。一瞬、どの時代に、どの空間に自分が存在しているのか、惑わされるような奇妙な感覚に聴く者を投げ込んでくれる、不思議な1枚である。