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例えば、ナンバのショー・パブ店「ザ・おしり」の立て看板。なんでも「ザ」ってつければ良いもんではないでしょうが、と突っ込む暇(いとま)も与えず、隣の頁には「ザ・めし処」のポスター。さらには九州限定の高級麦焼酎、その名も「THE城島」。
漢字カナ混じりの「楊貴妃の墓」の道しるべ。この程度で呆れている場合ではないとばかりに、同類の「モーゼの墓」や「キリストの墓」の表示が畳み掛けてきます。
タクシー車内に掲示された運転手の身分を示す乗務員証には、ドライバーの「趣味」を記した欄が。客と運転手の会話の糸口になればという配慮かもしれませんが、真面目に趣味を書けば書くほど、場違いな印象を感じないではいられません。著者の言うとおり、「望んでまで知りたくなる他人の趣味は少ない」。
これら「おバカ写真」の数々を眺めるうちに考えたことがあります。
私たちが暮らすのは、何ごとにも全員が整然とあることを求められる国です。列車の発着運行に一秒の狂いも許されない鉄道。ミリ単位で精巧に作られた大量の工業製品。個性よりも集団の協調性を重んじる教育現場。
そんな暮らしの中で私たちは勢い、はみ出すこと、踏み外すことを良しとしなくなります。
本書に登場する写真は、「整った美」を愛でる日本的視点からは遥かな距離を置く<まがい物>の数々です。
それでも著者はこれらをこの世に満ち溢れた「アイ」であると言います。そして「見つけたアイが、どれほど素敵かって紹介したかった」と楽しげに綴ります。
厳然と統一された日本の姿に息のつまる思いを抱えた著者が、人間味あふれる「あそび」を各地に見つけ、狂喜しながらシャッターを押す姿が目に浮かびます。
この「ゆるさ」を愛でる心の余裕をもちたい。そんな思いにさせる、巧妙な写真集です。
「この本を購入して手元にずっと残しておきたいか??」
と聞かれたら「それは微妙(汗)」という印象でした。
二回目くらいまでは笑えるけど、三回目はどうだろう?という
感じでした。
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