アイヌ民族を考える際に、本書でも引用しているように、「網野善彦による日本人はいつから日本人になったのかという問いは意表をついた新鮮さがあった。」
というように、過去の研究の根本的な視座のいいかげんさの指摘の記述がある。
しかし、本書では、それに深入りはしていない。
日本人の起源については、さまざまな研究があり、南方の人たち、朝鮮半島の人たちが、
なんらかの形で日本列島に来ていることと、以前から住んでいたと思われる、アイヌ、
蝦夷の人たちとの関係を体系的に記述しきれている訳ではないのかもしれない。
本書では、ひとまず18世紀前期の認識を立脚点に、
日本と朝鮮、沖縄、蝦夷の関係に基づこうとしている。
アイヌの文化的な背景、歴史的な背景、日本がアイヌ文化をどのような形で継承しようとしているかは、日本が北方領土の領有権を主張する際に引用されるかもしれない。
そういう政治的な主張とは別に、樺太、千島、北海道の文化的、歴史的な関係の継承を詳細化し続ける出発点となるように読み込みたい。
本書は、政治、経済、記録を中心に変遷しようとしているが、
言語、風習、考え方という視点の補強があると嬉しい。