道は人々の歩みを写すもの。
現代の道から過去の道へ、その移り変わりをたどって行けば、
歴史とそこを歩いた人々の息遣いがよみがえる。
アイヌは国家の考え方を持たなかったため、本州における”街道”のように、
統一的に整備された道はなかった。
が、その分人々の営みがそのまま見えるような足跡が残されている。
青草茂る夏の道「サク・ル」、
雪に埋もれた山をゆく冬の道「マタ・ル」
険しくて、いつも飛び越えて行くような場所「テレケ・ウシ」
アイヌ語地名は地形をそのまま写し取ったものであるから、
その意味を解けばそこがどういった場所であったかがわかるのだ。
北海道の道、というと大抵明治期の大開拓時代から解説が始まり、
囚人労働などとあわせて語られることが多い。
「アイヌの道」としてその足跡を追った本はなかなか見当たらず、
非常にユニークな一冊と言える。
アイヌと和人(日本人)の歴史を知る入り口としても最適で、
北海道史に興味を持つ方に強く推薦したい。