グラント・グリーンのキャリアの中では、少し特殊な雰囲気を持った作品だ。ほのぼのとしたプレイがグリーンの魅力のひとつだが、この作品は常にシリアスなのだ。
一曲目はデューク・ピアソンのオリジナル。まさに他ならぬこのメンバー、この編成で演奏されるべき曲だ。物憂げなサウンドが素晴らしい。ピアソン自らが寄せたライナーノーツから、レコーディング時の様子を想像しながら聴くのも楽しいだろう。
疾走感あふれる、二曲目はグリーンのオリジナル。タイトルは「造花」という意味のフランス語だという。作曲家としてのグラント・グリーンはあまり語られることがないが、自身の魅力を存分に発揮できる素晴らしい曲を書いている。
三曲目はMJQがオリジナルの「ジャンゴ」。ビブラフォンのボビー・ハッチャーソンがいるということで選ばれたのだろうか。息の合ったいい演奏だ。
四曲目はモーダルなピアソンのオリジナル。ライナー・ノーツによれば、グリーンのソロがあまりに素晴らしかったためマスターテイクに選ばれたのだという。たしかにすごくクリエイティブなソロだ。「ギターがこんなサウンドを出しているのは聞いたことがない」と語ったのは、初競演のジョー・ヘンダーソンだ。他の曲についても言えることだが、この頃グリーンの創造性はまさに絶頂にあったのだろう。
RVGによるマスタリングで音質が格段に向上したほか、マスターテイクにけして引けをとらないオルタネイト・テイクを聴くことができる。
この後にグリーンは、体調を崩して一時引退するまで、エルヴィン、ラリーヤング、マッコイ、そしてハッチャーソン、ジョーヘンら新主流派の面々とともに、充実した演奏を残すことになる。アーシーなギターを持ち味に、1960年にセントルイスからニューヨークにやってきたグラント・グリーン。これだけ時代の最先端をゆくサウンドを生み出すことになるとは、プロデューサーアルフレッド・ライオン、そして当の本人さえも、想像しなかっただろう。