カドフェル・シリーズを刊行していた現代教養文庫が廃刊になった時にはガッカリしましたが、光文社での再刊行を知った時には、出版業界の快挙!と心の中で喝采しました。
そのシリーズも14作目。カドフェル修道士を始めレギュラー陣は健在。中世イングランドの風俗を活写する作者の巧緻な筆力も変わらず。
例によって修道院の平和を乱す事件が起こり、カドフェルやヒュー・ベリンガーが解決に乗り出すが、事件の裏には水面下で進行する政治との絡みが…という展開ですが、カドフェルの決着の付け方と、最後の独白はしみじみと胸に迫ります。
全編を通して感じる、公平で、ちょっと皮肉で、暖かい視線。
神様が本当にいるなら、こういう視線で人間を見ていてほしいと思いながら読んでいます。