前巻でテン・タウンズを襲撃して捕虜になったウルフガーは、ドワーフのブルーノーに見込まれ、魔法のハンマー「イージスの牙」を受け取り、ドリッズトを師として戦いを学ぶことになる。
ドリッズトが忌避されるダークエルフということで最初は反発していたものの、その兼の腕を目の当たりにして、次第に尊敬の念を深めていく。その一方で、魔術師ケッセルの配下のモンスターの軍勢の先遣隊が動き始めていた……。
ウルフガーの反発から尊敬、そして今までの自らの小ささに気づき、改めるために行動に出る、というのは青春小説の王道を地でいく展開ではあるが、やはりその魅力は善なるダークエルフ、ドリッズト・ドゥアーデンに及ばない。
細心で緻密でありながらも時に無謀とも言える行動に出るニヒリストのアンチ・ヒーローこそが本書の真の主役である。
ウルフガーとコンビを組んでの先遣隊への襲撃、ドラゴンに挑むウルフガーを影ながら見守るなど、見せ場が多い。
ダークエルフ物語では、見守られる立場であり、学ぶ立場であったドリッズトが、今度は教え、見守る立場に立っているというそのコントラストが感慨深い。
動き出した敵、ようやく地に足をつけて歩き出したウルフガーと、いよいよ物語は盛り上がりを見せ始めた。低年齢でも読みやすい文体は、児童書としても申し分ないが本書の魅力はそれだけに留まらない。大人が読んでも読み応えのある冒険活劇である。