よくあるアニメーションのムック本は、設定資料を載せただけで良しとしているのが常だ。 しかしこのムックは違う。そもそも世界のアニメ市場から少しズレた観客層を狙った作品「アイアン・ジャイアント」を作り上げるまでの苦闘が詳細に記された、感動のドキュメントと呼べるかもしれない。
新技術というのは、本当に純粋な技術となるまで時間がかかる。例えばCGが発達すると、CGを使用しているだけで感動され、興味深く扱われるものであるが、実際に表現手段として使い切っている作品は決して多くない。ましてやアニメーションにおいては、強引な合成でCGが浮いたり違和感を隠せない。
しかし「アイアン・ジャイアント」に限って言えば、必要に迫られ技術としてCGを使いこなそうとする新しい視点と行動力を持ったクリエイターが試行錯誤をしている。 そこには、時流に翻弄されることなく、モノ作りをする姿、メッセージを形にしようとする真の意味でのクリエイターの姿がある。
そんなスタッフの姿勢を克明に追ったこのムック。ただのアニメーションの説明本と思うなかれ。これは勇気をもって創作に挑む人々の記録であり、マニアックな内容と普遍的な情熱が刻み込まれた怒涛の名ムックなのだ。
「アイアン・ジャイアント」を見て感動した人はもちろん、将来、モノ作りを目指している人にもぜひ読んでもらいたい。