地球の未来を背景に,7編の短編と,それを語るアンドロイドと聞き手のヒトからなる物語.
短編の前半はあまり人工知能とは関係がないが,
中盤辺りから意識のハードプロブレムに関する著者自身の回答を踏まえた人工知能のストーリーになっている.
この領域についてwikipedia程度の基礎知識があるとより楽しめるだろう.
ハートウォーミングなストーリーの連続で,
SFとしてはやや物足りなさを感じる向きもあるかもしれないが,
人工知能が誕生するためのブレークスルーが,
それに関わるヒトのある種の愛情だとする設定からは,
著者自身の持つ科学への愛情や信頼が感じられる.
人工知能同士のシュールな会話や,未来におけるヒトと人工知能の関係から,
ヒトを超えてしまった人工知能のやさしさが見られる一方,
合理的な思考から導き出される冷たさもうまく表現されている.
この対比もなかなかうまい.
人工知能を少々美化しすぎているいるきらいもなきにしもあらずだが,
一読の価値のある作品.