おそらく初の、「ん」で始まるタイトルのこの本は、五十音の最後に来る「ん」というのは、様々な意味で特異な文字である。本書は、そんな「日本語最後の謎」に迫ろうという、意欲的な一冊である。
意外と見過ごされがちな「ん」の不思議な性質を指摘した後、文字表記・発音音韻上の性質について、歴史的な考察が深められていく。やや専門的な用語や概念も多いが、丁寧に読んでいけば専門でない方も論旨は追えるだろう。
その背後には仏教やサンスクリット語といった偉大な文化遺産の影響が見え隠れするし、日本文化の神髄にまで考察は進む。「ん」は最後の文字かもしれないが、そこから壮大な日本語と日本文化を探る旅が始まったのである。