『われ広告の鬼とならん』。「鬼にならん」と言うのは、情けも愛もある人間だからこそ。その人が「俺は鬼になる」という気迫、この凄み。今の時代に欠けているのはコレ。
>「鬼十則」(おにじっそく)を唱えた苛酷峻烈な仕事人、大胆不敵な計略者、不撓不屈のネゴシエイター、
>そして稀代の人情家。戦後の広告業界を疾風迅雷のごとく駆け抜けた、電通第四代社長・吉田秀雄の波乱の生涯。
電通初代社長、光永星郎の葬儀の話から始まって、第4代社長吉田秀雄がその生涯を閉じるまでを、まるで大河小説のように描いています。葬式から葬式まで。ある意味、究極のイベントですからね。
その人柄も魅力的なのですが、何と言っても圧倒的に読者に迫ってくるのが、その言葉の数々です。いちいち引いていたらきりがないくらい。今でも十分通用する、まったく色褪せない人生の哲学(美学、かな)と経営思想、社会・世界に対しての構想力だと思います。 日本の広告史としても貴重な文献でしょうが、何より「一人の男の人生」を描ききっている点で感動的な本です。
「電通と博報堂の違いは?」という問いに対する一つの答えは「吉田秀雄がいたか、いなかったか」の差だと言っても過言ではありません。そして彼を採用した、光永星郎の人を見る目も。人こそ、企業の宝なのですから。