これまでも『アストロバイオロジー』岩波新書などで語ってきた内容を、筑摩新書らしくよく噛み砕いてサクッと読ませてくれる。最初は狩猟採取生活で他の生物と大差はなかった人間だが、いったん森から出て農耕牧畜を始めることによって、太陽光の反射比率にも影響を与える存在となった、と(森は農耕地よりも反射率は低いですし、地表の成分を海にも流しにくい)。さらに、産業革命以降の急速な物質とエネルギーの移動により、人間圏もストック型となり人口が膨脹した、と。しかし、人間圏がこれ以上、膨張すると、食料が供給できないから、そうなると貨幣経済が崩壊し(ぶっちゃけ紙で食料が変えなくなるから)、あと50年ぐらいで人間圏は終わりになるんじゃないか、みたいな電波っぽいところまで云っちゃいます。
こうした崩壊をを食い止めるためには、企業の論理っぽい「地球に優しい」という科学的な根拠のない空疎な言葉では難しいし、だいたい地球の歴史は汚染の歴史であった、とまで書くのが痛快なところ。どのみち、わたしたち自身の体の成分も地球からの借り物なのであり、これからの生活もレンタルの思想が必要になってくるんじゃないか、なんてあたりは、問題解決の方法としては直接的ではないし、遠すぎるかもしれないけど、納得的。そしてなぜ、人間圏を延命させるかというと、それは地球以外の生物との出会いを果たし、生物とは何か、という秘密を解き明かし(まだ、基本的には地球型生命しか知らないので、わたしたちは生命とは何かという大問題を、たったひとつのデータでしか分析していなし、それでは比較対照の分析がしようがない、と)、やがては、宇宙の成り立ちまで解き明かしたいから、というのはさわやかな目的です。