ベースになっているのは、主人公・徹からサークルのアイドルの有紀子への恋心です。
花が好きな彼女が、ふと「花屋で働いてみたい」と言った一言で、徹は花屋でのアルバイトを始めることになりました。お客さんとして来る人たちの恋の小さなお手伝いをしながら、徹と有紀子の恋も始まります。見ていてもどかしい恋の結末は果たして――?
どの短編でも、花が恋における重要なアイテムとして、上手く使われている感がありました。
短編「われもこう」での扱われ方が、一番私は好きです。実際に買われるわけでもなく、ただ、珍しい名前から少しだけ会話の種になっただけの花。誰かの手に触れたわけでもないけれど、それは徹に大事なことを認識させました。具体的には、読んでからのお楽しみ、ですけれど。
そして最後の最後の
「彼女の抱えている包みは、ノーマン・ロックウェルの画集と同じ大きさだ。」
の一文に、じんと来て下さい。
私はこの一文だけで、この一連の物語が大好きになりました。