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47 人中、43人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
『人生は短い』と語る,
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レビュー対象商品: わたしを離さないで [DVD] (DVD)
『わたしを離さないで』は、同じ寄宿学校で育った少年と2人の少女の恋が物語の一つの軸になっています。英国で最も権威のあるブッカー賞を受賞した『日の名残り』を上回るベストセラーとなり、日本でも文庫を含めて20万部以上売れているそうです。 主人公の少年少女は、普通の人々と変わらない感情を持ち、成長していくように見えるが、実は特殊な状況で育てられています。 「30歳ぐらいまでしか生きられないという設定がスタート地点。人生は短いということが強調され、そのなかで私たちが何をするべきかを考えさせられる」とイシグロは語る。 イシグロ作品には、こんな「人生は短い」というモチーフが繰り返し現れる。 「海洋学者の父の都合で5歳の時にイギリスに渡り、1、2年のはずが、気がつけば16、17歳になっていた。 そうなると、ことばの問題などで日本人ではなく、イギリス人として生きるしかなくなった。人生は短く、 間違いを正すチャンスはほんの何度かしか巡ってこないと思っているのは、こんな原体験があるからです」 物語の内容に踏み込めば、彼らは臓器移植のために生み出されたクローン人間という設定になっている。 「ドストエフスキーやトルストイの時代とは違って、人間とは何かを小説のなかで議論すると古風と思われてしまう。 だが、クローンとしたことで、人間とは何かという問いかけを含むものになった」 2006年の邦訳刊行時、若い世代がいくら働いても豊かになれない格差社会が問題になっていた。 「この小説がメタファーとして生きているとすれば、日本やイギリスの階層差よりも、南北問題など世界的な貧富の差にあると思う。 どの国へもわずかな時間で行けるのに、どんなに働いても豊かになれない貧しい国の人たちを、私たちは見ていないのです」 マーク・ロマネク監督による映画化には、自身もエグゼクティブ・プロデューサーとして加わった。 「私は成瀬巳喜男や小津安二郎の映画が好きだったが、ロマネク監督も同じころの日本映画が好きだった。 主演女優のキャリー・マリガンの演技は、高峰秀子や原節子を思い出させる。顔の表情をあまり変えずにわずかなセリフで深い感情を喚起させる方法で、 見ているとイギリス人が出演している日本映画のような気がした」 以上、「」内は『カズオ・イシグロ』からのメッセージです。
10 人中、10人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
考えさせられる映画が、もしお嫌いでなければ,
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レビュー対象商品: わたしを離さないで [DVD] (DVD)
暴力的なシーンがあるわけでもないし、激しいシーンがあるわけでもない。それでも鮮血の滴る生々しい肉片を皿に載せて供されたようなリアル感がある。この作品を見て色々なことを考えたし、考えさせられた。「どこかで誰かがこのような目に・・」と考えると、弱者を犠牲にして臓器売買が現実的に行われている事に思考が及ぶ。「魂がなければ人ではない」という思想は、キリスト教的な考えであり、かつての白人優位、有色人種蔑視の時代を想起させる。「極限状態での才能の開花」にも思考が及ぶし、それは「芸術は人の運命を変え得るんだろうか」という思いにもつながる。警察も軍隊も暴力を惹起させるものは(おそらくは意図的に)描かれていない中で、これ以上はないほどの猛威をふるう国家権力がある。その背景にあるものは、命の重さは対等という真実に目をつぶり、自分たちが良ければいいという弱き者たちの集合体がある。そして人間は弱いものだ、ということも。 マインドコントロールという切り口に立てば、社会で必要な知識を敢て教えない事が、どれだけ弱者の立場に身を置かせる事になるかも伝わってくる。教育の力、親の教えが偉大であると共に、それを悪用すればどれだけ人を無力化できるだろうか。より人間らしく扱うこと、それが決定的に人間との差を際立たせてしまうことはどうだろう。最初から分相応を教え込むべきなのか、与えないことが幸せなのか、一瞬の幸せを掴み取るべきなのか、正解はなく思考が空転する。 作者が日本人だという切り口に立てば、主人公たちが気づいても居ない「阻害されている感じ」を理解できる気がする。見えない壁がそこにはあって、簡単に打ち消せる場合もあるのだけれど、時代によってはとてつもなく高い壁になる。これは、日本人がイギリスで受ける視線かもしれないし、イギリス人が日本で受ける視線かもしれない。おそらくは、作者の中ではその両方が入り混じっているのだろう。2つの国の中で、どちらにも完全に帰属しない、それは一体どんな思いであったのだろうか。 作中で表現されること、それは冷やかさや、区別、無関心といった事柄だ。大いなる愛がない世界、あってもはじき出される存在が出てしまう世界。想像すると恐怖しかわかない。例えるなら、マザー・テレサの存在しなかった世界だろうか。人を、暖かく受け止める場の重要さ、もしかしたらこれが本当は大いなるテーマなのかもしれない。 作者にとって本作がどのような作品であったかといえば、書かずには居られなかった、見ずには居られなかったテーマなのではないかと感じた。それを本作のような物語としてまとめ。そして、読者に「気づき」を与える。それがカズオ・イシグロのとても評価される作家性なのではないかと感じた。本作に描かれている幾多の出来事は勿論、事実ではない。しかし真実の断片を深くえぐりとるから、観客はそこから目を離せなくなるのだ。
6 人中、6人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
空想の中の現実。,
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レビュー対象商品: わたしを離さないで [DVD] (DVD)
それがあったものとして描かれています。主人公が、静かに思い出を語る物語です。が、どうも普通の思い出ではありません。 派手な事件もトラブルもあるわけではないのですが、主人公を取り巻く舞台そのものが普通とは大きく異なっていることに映像を追いながら気がついてゆきます。 彼女達が育った寄宿舎の壁の向こうに一歩出れば、確実な死が待っています。 TVもステレオも現代文明の産物が何一つない場所に、時折、壊れかけたおもちゃが段ボールに入れられて支給されます。 彼女たちはクローン技術によって培養された生命なのです。 寄宿舎が、養豚場や養鶏場に近いものであったことにきがつきます。そこで飼われているのは人間です。 が、本当に人間なのでしょうか。この疑問を持ったとき、この物語がとてつもない作品であることがわかります。 イシグロ氏の生み出した虚構とも現実ともつかない世界をものの見事に映像化した作品です。 シナリオが抜群に良いからだと思います。 この作品は記憶に刷り込まれることになると思います。 空想の中の現実です。
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