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わたしの開高健
 
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わたしの開高健 [単行本(ソフトカバー)]

細川 布久子
5つ星のうち 4.6  レビューをすべて見る (5件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容紹介

女性の視点から語られる開高健の姿
釣り師であり、食の大家であり、きわめて行動的なジャーナリストともいわれる作家開高健。その担当編集者として、あるいは私設秘書として身近に見てきた著者が描く、女性の視点からの作家の姿。

内容(「BOOK」データベースより)

開高さんの電話は、いつも独特の挨拶で始まる。「アワレナカイコウデスガ…」私はいつもクスッと笑ってしまう。担当編集者として“私設秘書”として見つめてきた、作家開高健の素顔を描く。

登録情報

  • 単行本(ソフトカバー): 232ページ
  • 出版社: 創美社 (2011/5/26)
  • 言語 日本語
  • ISBN-10: 4420310537
  • ISBN-13: 978-4420310536
  • 発売日: 2011/5/26
  • 商品の寸法: 19.2 x 13.2 x 2.2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.6  レビューをすべて見る (5件のカスタマーレビュー)
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 妻である詩人・牧洋子との関係が複雑であった開高は、自分に心酔する担当編集者であった著者を買い物・衣類リフォームなどでお手伝い的に使うだけでなく、秘密口座を管理させて、愛人らしき人物への送金役などもさせていたらしい。
 とはいえ、本書はけっして暴露ものではない。開高健の小説に出会って文学の力に目覚め、偶然の縁によって担当編集者となり、最初の開高健特集雑誌(面白半分増刊『これぞ、開高健。』)編集に腕を振るう機会に恵まれた著者ならではの、愛情にあふれたオマージュ本である。
 と同時に、学生運動体験をくぐり、不器用な生き方しかできず、開高からそのナイナイズクシぶりをからかわれながらも愛された「律儀さと真摯さ」だけを頼りに、開高の傍を離れてからも彼に薫陶を受けたワインへの情熱に導かれて、パリ在住のワインライターとして生きて来た著者の誠実な人生の記録でもある。開高ファン以外にもお薦め。
 
 
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12 人中、12人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
この本は、世にも稀な出会いをした著者だからこそ書ける本だと思った。
著者の人生は、作家開高健との出会い、そしてその時々の彼及び彼の周辺との関わりで流が決まったようだ。
そして、そのことにより著者の人生は驚くほど「濃い」人生になっている。
もちろん、出会いだけでなく、著者自身の誠実さや努力がもたらした濃密さだが・・・
著者の悩みやよろこびにふれ、自分の人生はなんて薄っぺらいんだろう…このままではいけない!とモーレツのかきたてられた。
天才は才能とその環境の化学反応で生まれると思う。だからこそ開高健のような作家はもう現れないだろう。
だからこそ著者がうらやましい。☆をひとつ削ったのは、人生を変えるような出会いを持った著者への嫉妬からだ。
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9 人中、9人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
『夏の闇』と『輝ける闇』に魅了され、その作者といつも一緒にいられるかも、という期待だけで雑誌『面白半分』のアルバイトに応募した少女が、以後、開高健の知遇と信頼を得て過ごした青春時代を追憶する書である。

本名の「福子」という字画は、≪どうも角ばりすぎてるナ。・・・変えてみたらどうですか。わたしが、ピタリとくる漢字を見つけてあげます≫と今日にまで至る「布久子」への改名に始まり、≪いつも光と風に洗われていた≫茅ヶ崎の開高邸のサロン、開高教授によるワイン指導、そして特集『これぞ、開高健。』の制作編集に没頭し傾注する日々ーそれを彼女は一言に凝縮する≪1978年の夏ほど私の人生で充実した季節はなかった≫と。彼女の眼は万遍なく周辺人物にも及ぶ。例えば開高夫人は作家にとって「大きな呪縛」と映りながらも、夫人は≪開高さんを愛しすぎた・・・情けはあまりに重すぎた・・・開高さんをコントロールしよう束縛しようとしすぎたのではないか。たえまなく。愛という名のもとで。≫と、同性の機微に触れる観察眼も光る。とりわけ『夏の闇』のモデルだった女性は≪強烈な存在感があった≫という。その仔細は本書を一読していただくほかはないのだが、その女性のあまりに理不尽な最期を見て、≪世界のあらゆる悲惨を目撃してきながら、もっとも深い虚無に陥った≫という開高健の心情が、感傷に流れない文で書き留められていることに注目したい。全編を通して、どんな場面でも、作家の一言半句も聞き漏らすまいという一途さが、読む者の胸を打つ。

パリへ移住した彼女へ届けられた開高健の2通の手紙、思いがけないパリでの再会(≪開高さんがパリに来る!私は落ち着きをなくした。会いたい≫、お別れの時に渡された「萬病の薬」と書かれた封筒、その中の新しい100ドル札10枚(≪そんなに気にせんでもよろし。私が若く貧しかった頃、誰かにしてもらいたかったことをしてみただけのことです≫)。≪それが、最後、だった≫、そして≪開高さんが亡くなった≫。

作品を通して作家と邂逅し、生身の作家に裏切られるどころかますます魅了されていった稀有な体験は、『わたしの開高健』と称する以外に適当な表現はなかったに違いない。≪きみイ、どこの出身や≫と初めて言葉をかけられた日から40年、そして死後20年余、心の奥底に蓄積していた思いは、「恋」とか「愛」とかの言葉を使わないで、それ以上に切々と、開高健に対する静かに燃えて澄んだ炎を思い起こさせる。
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