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16 人中、16人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
文章の巧みさと面白さ,
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レビュー対象商品: わたしの渡世日記〈下〉 (文春文庫) (文庫)
後半は上巻の最後で特攻隊員を涙で送った著者が、日比谷の東宝劇場を急遽米軍用に改造した「アーニー・パイル劇場」のステージで、超満員の米兵を前にアメリカの流行歌を歌っているところから始まる。「人には言えない、妙なうしろめたさが、私の背後に忍び寄って」くるが、「人々は食料を奪いあって道義は地に堕ちた」とも書く。
戦後の東宝大争議に巻き込まれて当時の「赤いスタジオ」の様子を描き、また自殺直前の意外な太宰治の印象や、恐れ多くも昭和天皇・皇后両陛下に御植樹の介添え役で会われたエピソードを書いている。これらの描写が抜群にうまくて面白い。あまりにうまくて解説で沢木耕太郎氏がゴーストライターの存在の有無を書いているほどであるが、その疑いはその後多くのすぐれた著作を残していることで明らかである。仕事は猛烈に忙しかったが、母親との確執はますます先鋭化し、プロデューサーとの金銭トラブルや深みにはまった泥沼の男女問題も生じていた。これらを一掃したくてパリに逃避行するが帰国後も人気は衰えず、「二十四の瞳」などの代表作を残した。 尊敬する小津安二郎、谷崎潤一郎、梅原龍三郎、木下恵介、成瀬巳喜男らとの交友は写真も載せて楽しい読み物になっている。沢木は「言いたいことを言いたいように書く。容易そうに見えてこれほど難しいことはない」と書き、それをいとも簡単にやってのける著者の才能をほめているが、自伝の場合は特にそうだ。著者は恥の上っ面だけ撫でたような気がして不満が残るというが、身内のことや金銭、男女問題などかなりきわどい話も赤裸々に書かれていて、飾りッ気のない著者のさっぱりした性格が反映されている。
9 人中、9人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
高峰秀子の死を今日知る。,
By 最辺所太郎 "もへんじょたろう" (信州) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: わたしの渡世日記〈下〉 (文春文庫) (文庫)
今日、高峰秀子の死を知る(12月28日だったそうである)。この本を読んでからずいぶん経つ。
彼女に限らず、何かに選ばれた運命を持つひとは記憶力において驚異である。人はそれを天才というのだろうが、彼女もまちがいなくその一人である。 子供のころの記憶から、はからずも映画の子役になり、成人しても大スターでいた国民的女優の飾らない、しかし実に的確な文章。描かれる彼女を含めた周囲の人々の万丈の一部始終。記憶の宝庫。その記憶は書かれるために記憶されたのかも知れない。そして、その記憶を紡げる筆力。これは映画史であり、戦中・戦後史であり、女性史である。 一番感動するのは、彼女の人間的な強靭な正義である。曲がらないのだ。この正義とは社会に対してとかいうものではなく、自分に対してと、周りの人に対してである。高みに立たずに人を見ることができること、それがこの人のもっとも魅力となっている。一種の正直さ。健気さとでも言おうか。 義母との確執はそこらの純文学作品など足元にも及ばないくらいの凄さで、よくも人格障害にもならずに生き抜き、むしろ人々にはずっと愛され続けた。希有な性格であり、運命だと思う。木下恵介・成瀬巳喜男監督の映画を見るたびに、この本の彼女のその時期を思ってしまう。 ご冥福を。彼女こそ「全部生きた人」だ。
27 人中、23人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
ポツダム宣言から。,
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レビュー対象商品: わたしの渡世日記〈下〉 (文春文庫) (文庫)
上巻は彼女の出生から昭和20年の戦争までが描かれ、下巻はポツダム宣言から、50歳までが描かれています。 これ、文庫本としてはボリュームもたっぷりで、 上下で800頁近くもあるのですが、私はお風呂の中にまで 持ちこみ、数日で読んでしまいました。 川口松太郎が「人生の指導書」と絶賛した、と裏表紙に 人生をかじり始めた私でも面白く、また勉強させられ、 大正13(1924)年に生まれて、こんな自由なものの見方が 少しでも多くの人に読んでもらいたいです。
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