帯の裏表紙から「大病の話、生きているのがありがたく、朝、幸せだとつぶやく。腹を立てることもない。電車の中で隣に坐った男が携帯電話をかけ始めても、ただ席を立って別の車両に移り、吊革をつかむだけである。」―渋い。このときは結構お年でしょう。私等はすぐに腹を立てそうです。
昨日丁度、この本を購入したときに、同時に購入したいと思っていた長英逃亡(上)を発見し、購入。もう一冊と思い「ポーツマスの旗」か「高熱隧道」にしようかと思い、いつもアマゾンでお薦めとして紹介される「高熱隧道」にした。本書の最初のエッセイ「小説の題名」になんと上記2作が登場。小村寿太郎と国民の旗、出発前は振られたが、帰国時には一本も旗は振られていなかった。黒部ダム建設のためのトンネル工事の話からトンネル会社の社長さんと対談。題名の大切さを説くも、「未完」「静物(A)」「無題」等。誰しも題名をつける難しさがあることを認識し、ニヤッと笑う。
この文章を見ただけでも吉村氏の筆(万年筆)は冴えわたる。なんとなく2、3編読んだだけでも面白い。好きな作家の吉村さんだけにいくらでも話が出てきそうである。これから先も楽しめそうだ。