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わたしの名は「紅」
 
 

わたしの名は「紅」 [単行本]

オルハン パムク , Orhan Pamuk , 和久井 路子
5つ星のうち 4.2  レビューをすべて見る (12件のカスタマーレビュー)
価格: ¥ 3,885 通常配送無料 詳細
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商品の説明

出版社/著者からの内容紹介

 2001年9月11日事件の数日前の『ニューヨーク・タイムズ』紙の
書評欄は、現代トルコ文学の第一人者オルハン・パムクの『わたしの
名は紅』(1998)の英訳版に大きな紙面を割いていた。これは著者の英訳された
四冊目の本で、同紙の書評欄はそれまでも常に彼の作品に関心と賛辞を呈してい
た。この本は十六世紀末のイスタンブルの細密画師の世界を扱っていたが、その
中に記されたイスラム原理主義者の動静、文明間の衝突と共存、イスラムの役割
などが、9・11テロ事件後に、特別の意義を持ってくるとは知るすべもなかっ
た。

十六世紀末のイスタンブル
 舞台は1591年の冬、オスマン・トルコ帝国の都イスタンブルでの雪の九日間の
出来事である。帝国は十六世紀前半に政治的にも、経済的にも、文化的にも最高
の円熟期に達したあとで、色々な面でそろそろ問題が出てき始めた時期である。
政治的な腐敗、長く続く泥沼化した戦争、物価高、インフレに悩む市民、疫病の
流行、大火、退廃的な風潮、乱れた世相と、これら全ての悪の根源は預言者の言
葉にそむいたためであり、葡萄酒の売買を許したためであり、宗教に音楽を取り
入れたためであり、異教徒に寛大であったためであったといって、この機会を利
用して市民の間に入り込み,広がりつつあるイスラム原理主義者の動きがある。
敗北を知らなかったトルコ軍はこの少し前、レパントの海戦(1571)でヴェネ
ツィア共和国とスペイン王国のキリスト教連合艦隊に初めて敗北を喫して、西洋
の力に対する畏れを身をもって感じ始めた時期でもある。この時期はまたトルコ
の細密画の技術が、その庇護者十二代スルタン・ムラト三世の下で本家のペルシ
アの芸術を凌駕する域に達した時代でもある。
 時のスルタン、ムラト三世は翌年がイスラム暦の一千年目に当たるところか
ら、その在位と帝国の偉容を誇示するための祝賀本の作成を秘かに命じる。元高
官で細密画がわかるエニシテが監督するが、彼はかつてヴェネツィアで見
た遠近法や陰影,肖像画などの手法を取り込むことをもくろむ。西洋画の技法で
細密画を描くこと、特に肖像画はアラーの神への冒 行為と考えられる時代であ
る。物語はやがて殺人事件に発展していく。事件はイスタンブルで起こるが、
細密画にまつわる歴史的解説は、アレキサンダー、ダリウス、ジンギスカンの
蒙古、フラグの西アジア、チムールの中央アジア、コーカサス、古代ペルシア、
ササン朝ペルシア、インドにまで及ぶ広大な展開を示す。
この本は、その中で西の文明に対比するものとしてイスラムの概念がでてくる
が、イスラム原理主義者の西の影響をよせつけようとしない暴力と独断を、強く
糾弾する書である。進歩的なモスレムの知識人たちと共に、著者はこういう野蛮
と独断がイスラムを内から破壊し、自己批判や変化をおそれることがモスレム社
会を後進させるという。変化をおそれず、西の文明を、よいものは選び受け入れ
ることによってこの危機を乗り越えられるという。

内容(「BOOK」データベースより)

黄昏のオスマン・トルコ帝国にしのび寄る、ヨーロッパ文明のコスモロジー。東西文明が交錯する都市イスタンブルで展開する細密画師たちの苦悩と葛藤を描く。歴史ミステリー小説、遂に上陸。国際IMPACダブリン文学賞、フランスの最優秀海外文学賞、イタリアのグリンザーネ・カヴール市外国語文学賞等を受賞。

登録情報

  • 単行本: 628ページ
  • 出版社: 藤原書店 (2004/11)
  • ISBN-10: 4894344092
  • ISBN-13: 978-4894344099
  • 発売日: 2004/11
  • 商品の寸法: 19 x 12.4 x 3.8 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.2  レビューをすべて見る (12件のカスタマーレビュー)
  • Amazon ベストセラー商品ランキング: 本 - 202,367位 (本のベストセラーを見る)
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25 人中、23人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By デルスー トップ1000レビュアー VINE™ メンバー
形式:単行本
通俗的なミステリーの鉄則として、
「いきなり死体を出せ!」というのがあるそうで、
それを地で行くかのように、冒頭で一人の細密画師が殺され、
容疑者を限定した上で犯人探しがおこなわれるのだが、
犯人は明かされないまま第二の殺人が起こり、
事件はスルタンの宮廷をも巻き込んでいく。

カラとシェキュレの恋愛模様を一方の興味の焦点に据えながら、
語り手(人間ではないこともある)が頻繁に交替する手法を取ることで、
覗き趣味的な興味も交えつつゆるやかに進む物語は、
臆面も無く「娯楽大作」しているのだが、
それを綴る文章はあくまで緻密で香気高いものだし、
(「訳文が読みにくい」との評もあるようで、
 たしかに主語の省略がやや多過ぎるような気もしたが、
 16世紀末のイスタンブルを舞台とする本書には、
 どこか細密画を思わせるような浮世離れした感じを与える訳文が、
 むしろふさわしいと言えるかもしれない。)
犯人探しの手がかりと密接に絡み合うかたちで
裏の主題としての細密画論が展開される点も深く考え抜かれており、
全体としてはきわめて知的で密度の濃い作品に仕上がっている。

あえて欠点を挙げるなら、
・三人の細密画師がじゅうぶんに描き分けられていないように思えること、
(もっともこれは、ある程度までは意図的なものかもしれない)
・クライマックスに至る過程で、登場人物のセリフがやや冗長に思われたこと、
などがあるし、個人的な好みを言わせてもらえば、
・最後までエンターテイメントとしての枠組みを破らず
そつなくまとめているところが逆に物足りない、
という気もしないではなかったが、
とりあえず上質なミステリーを楽しみたいという方には
自信を持って勧められる第一級の作品だと思う。
このレビューは参考になりましたか?
34 人中、29人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By 猿岩
形式:単行本
絵画とは我々にとって何なのだろうか。我々は絵画に何を求めているのだろうか。この小説の真の主人公は、そんな絵画を巡る問いである。
伝統的な様式に従って美しい絵を描くことを良しとしてきた社会に、西洋近代美術の個人主義と写実主義が入ってくる。そこで起こる葛藤は、明治以来急速な西洋化を成し遂げた日本人にも親しいものだ。ただ、偶像崇拝を厳しく禁じるイスラム世界では、肖像画はもちろん、それ以外の絵画を描くこと自体、考えようによっては罪深い行為である。そのため、個人を表現する西洋近代美術は冒涜的で恐ろしく見えるとともに、悪の魅力も放っていたのだった。
作者はこれを単なる「東西対立」のお話にはしていない。イスラム世界の絵画といってもそもそも一様ではなく、各地にそれぞれの様式があり、国の興亡に従って栄えたり廃れたり、影響しあったりしている。一方、西洋の肖像画は像主を忠実に再現するはずのものだが、トルコの使節としてヴェネツィアに赴いた「エニシテ」は、ある人物の肖像画を見て、容貌が全く似ていないにも関わらず、自分自身であるかのように感じる。これは、肖像画が「個」の表現を通して、人間の普遍的なものを描き出していたからに他ならないだろう。作者の立場は、「ここにいて、混じり合え」というカラのせりふに表れているが、それが一朝一夕に成果を生むとは限らないことは、「オリーブ」の体験を通して描き出されている。
訳文がこなれていなくてやや読みづらいが、それがあまり気にならないほど、重厚で読み応えがある傑作だ。
このレビューは参考になりましたか?
27 人中、22人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By カスタマー
形式:単行本
 西欧文明が流入しだしたころのトルコを舞台に、細密画師の間でおきた殺人事件を描く。犯人は誰か、というミステリーの要素のみならず、文明間対立、恋愛、当時の風俗など様々な要素が入り乱れており、内容はかなり面白い。とりわけ、肖像画を残したいという欲求は鬼気迫るものがある。
 ただし、スタイルだの色彩だのといったことについての解説がなかなかに難しく読みやすい本とはいえない。加えて、背景知識がないと、若干ややこしい。
 よって、一つ減点の星4つ
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投稿日: 2008/4/10 投稿者: poppoppo
もしも、イスタンブールに憧憬があり、トルコの歴史と美術に知識があるなら、読み応えのある本。
... 続きを読む
投稿日: 2008/1/2 投稿者: コンタナトス
わたしの名はギャモン
紅ってなに?... 続きを読む
投稿日: 2005/4/17 投稿者: ギャモン
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