某県庁職員として働いていた筆者の自叙伝的コミックエッセイ。
新人研修を経て芸術文化課,県立大学事務部,そして福祉事務所と異動を重ねる中で様々な発見をし,住民と触れ合い,苦情処理に追われ,やがて体調を崩して志半ばで退職せざるをえなかった過程が描かれている。阪神淡路大震災も経験するなど,地方公務員たちが身を削る思いで住民のために奮闘していく様は,あらためて頭が下がる。
また,福祉事務所における業務は,とりわけハードであり,身勝手な住民の要求に振り回される姿はとても可哀想だ。超高齢・少子化社会・無縁社会の現代にあっては,安易に役所に身を委ねる地域住民も甘えは許されない。それでも,子供,女性,高齢者等の社会的弱者の人々は,救済されなければならない。この本を読んでいて,現代の社会政策の矛盾と問題点をひしひしと感じた。そう言えば,故・橋本龍太郎元首相は,「政治は弱者のためにある。」が持論だったよな・・・そんなことまで思い出す。
公務員の職種は,まさに多種多様で,9to5でお気楽仕事している職員など今や少数だ。この本が,公務員(特に福祉関係)の悲惨とも言える現状を伝え,理不尽な苦情申立てをする住民が減少することに一役買うことを信じている。