表題作の「わが愛しき娘たちよ」、衝撃です。怖いよー、怖かったよー(涙)。
短編集なんですが、本編の前に作者自身による前書き的なことが書かれてます。
うん、ある意味リッチで楽しめるな。その前書きとあわせて読むと、恐ろしさ倍増です。
って、言ってもグロテスクとか、人殺しあるとか、そういう系の怖さではないんです。
精神的にくるってやつです。
精子を機械に出し、養育費を出せば、何の責任も無く、
自分の子供をこの世に送り出せる。
家庭を持つ必要も無い、面倒も無い。子供の将来に悩む必要も無い。
家族を持たない子供が増えている時代。主人公もその一人。
家もない、父親の顔も知らない、小さい頃から寄宿舎に預けられている。
そんな主人公と同室になったのは、きちんと家族を持った女の子。
その子はなぜか、おびえきっていた。
青ざめ震える少女、夏休み以降急に態度の変わった彼氏、彼氏が片時も離さないペット。
繰り返し流れてくる「わが愛しき娘たち」というフレーズ。
四季のない学園で、降り続ける綿の木。
「お父さんは君の事を考えてるんだ」
「わが愛しき娘たちよ」
この言葉がこんなに不気味に思えたのは、これが初めてです。
コリーウィリスの作品は、コミカルなものの方が私好みなので、
好きさなら、他の作品、例えば「月がとっても青いから」の方が上です。
でも、好き嫌いを超越して深く刻み込まれた(本当に切り刻まれた気がする)のは表題作です。
一回読んでみてください。