既に単独で出版された二つの短いエッセーに、
新しく二つを加え、合本となったものです。
著者の思想(信仰)を総合的に把握できる
良書だと思います。
新たに加えられた二つの短編の一つの「イエスのもたらす平和」
は、ラルシュにおける著者と
重いハンディを持つアダムとのかかわりの中からの考察のようです。
何か立派なことをする(ドゥーイング)の価値観から
「存在する(共にいる)」ビーイングの価値観への転換についても
著者の体験をとおして語られます。
(参考)「アダム―神の愛する子」ヘンリ・ナーウェン
最後の「生きること死ぬこと」というエッセーについて。
ヘンリ・ナーウェンは五十代後半になった冬、
事故にあいます。
車のミラーにぶつかり肋骨を5本骨折し、
医師から、「長く生きられないでしょう。
内出血がひどく手術をしてみますが
うまくいかないかもしれません」と告げられショックを受け、
集中治療室で生死の境をさまよいます。
その後、幸い、信仰的に深められ、
肉体も回復した彼のもとを訪問した人たちの感想です。
・ 健康なときより病気でいるときのほうが
はるかに良い牧者だね
・ やっと話しを聴いてくれる時間をとってくれたね
・ いつものように何かで心が占められていないね
・ いつもよりずっと陽気だねえ
人生の短さ(限りあること)の意味、
弱さを受入れ他人の世話になることの意味、
死と親しみ、(死の)友となることなどについて、
体験を通しての考察が綴られていて
心慰められます。
本書のメッセージとナーウェン自身の生き方が重なる
ようです。
病に苦しむ人、大切な人を失い悲しみの中にある人に、
イエスの生き方を通して、
方向性を指し示してくれる内容だと思います。