著者は、愛知県の高校から一浪して東大に合格された方である。
本書のタイトルからすると、著者のお子様を東大に合格させたのかと思ったが、
本書は、東大に合格した著者が、ご自身の父親の教育がどのようなものだった
のかを振り返り、その中で、東大合格に導いたと感じるものを「父親力」として
まとめ、世のお子様をお持ちのお父さんに向けて書かれた本である。
本書の具体的な内容としては、自分で決めたことは途中で投げ出さずやりきら
せること、「超朝型人間」にさせること、生活習慣を整えさせること、自分で
はなく誰かの幸せのために生きる心を持たせること、歯を喰いしばってでも耐え
抜く力をつけること、分からないことは自分で調べさせること、何事にも疑問を
持つこと等々、父親が子どもの教育のためにすべきことを、全部で12項目に分け
て書かれている。
本書で提示されているこれらのことを、子どもがするようになれば、「自然と」
子どもたちは勉強をするようになり、東大に合格できる学力を身につけられる、
というのが著者の主張である。
非常に読みやすい構成と文体で書かれているため、肩の力を抜きながら読め、
参考になる部分もある。
しかし、である。本書で述べられている著者の主張は、あくまで著者の父親
という個人的事例一つをまとめたものにすぎない。そこに、汎用化できるだけ
の定量性もなければ学識を踏まえた知見もない。それを、「わが子を東大に
導く父親力」と定義していいのだろうか?また、一番気になる点として、父親
でもない(そして教育学等の学識もない)著者が、大上段から父親の教育に
関して語っても、説得力をあまり感じないのは私だけだろうか?
以上の点を鑑みれば、一経験の観点から書いた本という域を出ない本である。