「わかりやすい実用書」をつくることに関しては業界屈指といわれると、巻末のプロフィールにあるように、とにかくわかりやすい実用書である。文章は理路整然としていながら、図版やイラストもふんだんに使われ、いっそう理解しやすい工夫がなされている。
本書では「説明と説得」の大前提として、「説明」は「納得」とセットでなければならないことを強調している。つまり、「説得」とは決して強引に自分の意見を通すことではなく、相手に「その通りだ」と納得してもらって初めて「説得」と言えるのだと。なるほど、これだけでも目からウロコの思いだった。
言い換えれば、人を「説得」するには、口がうまいかどうかなどということよりも、誠実に熱意をもって一生懸命話すことが重要なのだという。「説得」するということは、相手とのコミュニケーションをとることだから、それも充分頷ける。
さらに、「説得」の基本はまず相手の話を聞くことであり、相手が何を思っているかを理解しようとする姿勢を持つことが大切なのだと説いている。言われてみれば、そのとおりなのだが、ここまで明解に文章にしてくれた実用書を、私は知らない。
しかもこれらのことは、この本のテーマの基本中の基本であり、ここから発展して、説明・説得するためのさまざまな技術や心構えが、編集者としての豊富なエピソードを交えてじつに丁寧に語られている。その視線は柔軟で優しく、多くの示唆に富んでいる。単にビジネスマンだけでなく、多くの人にとって、即戦力となる有意義な実用書である。