なんと言っても読みやすい。著者の言うどうしたらロボットが作れ動かせるかというシステムシナリオの観点から書かれていて面白い。例えば,減速機の説明でもその効率の数字が示されたり使いやすさなどが書かれている。著者の長年の実体験に基づいているのであろう。例題もどのように設計するかといったものも多く,解析的になりがちなこの種の本をシンセシスの観点から書こうという努力が良く現れている。また,各章の初めにそれ以前の章との関係が説明されているのも読者への良いガイドとなっている。
欲を言えば,もっとシンセシス,設計といった観点を徹底して欲しかった。例えば,こういった場合にはどのセンサーがよいか,アクチュエータがよいかといったセクションを章の初めに設け,その後に個々のセンサーやアクチュエータの説明をするといったように。
まさに逆引きのロボット入門書を目指してほしかった。
内容はロボットのマニピュレータを中心にそれぞれの項目についてコンパクトにもかかわらず実用化されている技術について最新の技術まで取り扱っている。例えば,アクチュエータについては形状記憶合金や超音波モーター,FMAまで説明している。また,リフレッシュという囲み記事で書かれているロボットにまつわる種々の話題も読んで楽しい。項目的にあればなおよかったと思われるのは,(視覚)パターン認識もあるが,移動機構である。
実用の域には達していないかもしれないが,最近話題となっている人間型ロボットに用いられる2足歩行,階段昇降などに良い4足歩行,大きなコンテナなどを抱えて平行移動に便利な6足歩行などのメカニズムや制御についても書いてあれば大学生にとってももっと楽しい本になったであろうと思われる。
いずれにしても今後のロボット工学の教科書の方向を示す好著である。 (高知工科大学大学院 教授 近藤 正幸)
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