「人生の午後」という心理学用語がある。これは、人生80年の前半を「正午」、そしてそれ以降を「午後」と表現し、「誰しも人生の中間地点を通過する頃から、自分の生き方はこれで良かったのか、これからどうすべきか」と葛藤、反省を繰り返すと言われている。
45歳である主人公のキョウコは、まさにその「人生の午後」真っ只中だといえるのでは。一生無職で生きる決意をしたものの、冬は屋外の如く寒く、夏は蚊が襲撃、そして梅雨時はナメクジ、ミミズ、大量のカビに悩まされるれんげ荘ならずキョウコ曰く“じっとり荘”(笑)の生活で初心が揺らぐ。
それだけではなく、自分で望んだ質素で自由な生活だったはずなのに、何か心にポッカリ穴が空いた様な気持ちに見舞われてしまう。「あんなに社会人が嫌だった筈なのに、なぜ?」。
あるとき親友のマユちゃんからこう言われて、キョウコは妙に納得する。「あなたは真面目なの。仕事を真面目にやって、それが嫌になって、無職になって、真面目に無職をしてるのよ」。そして、自分が今までこれといった趣味が無かったことにも気付き、「定年迎えた無趣味のオヤジのようだ・・・。」と落胆する。
幸せの定義は人それぞれだが、結局、人は何か生きがいがあってこそ自由も仕事も活きてくるのだと実感した。そして「責任」というと、いかにも煩わしい、鬱陶しい側面があるが、私達は責任があるからこそ守られている部分が多々あるのだと、改めて気づかされた。でもシリアスになり過ぎずユーモアを交えながらテーマを投げかけてくれる群さん節に、今回も救われた。