名作『るろうに剣心』の劇場版。アニメと思って侮る勿れ、幕末から明治への時代の中での様々な葛藤が上手く描かれています。アニメの性格上、勿論フィクションとならざるを得ませんが、薩長同盟の護衛として戦った剣心の過去から始まる明治の事件。薩長同盟がなり、大政奉還・鳥羽伏見の戦いを経て、明治という新時代を迎えた日本、しかしそこに混在したのは腐敗した官僚主義と形ばかりの平等主義と民主主義、そんな現実に見かねた旧幕府方の有志達が立ち上がり目論む「新維新」。その影に見え隠れする黒幕達に操られるままに巻き起こる明治の一事件と、剣心との物語です。
幕末を理解してこそ楽しめる、寧ろ大人向けの作品で、今の日本社会にも通じる題材になっていると思います。幕末と言う時代が、志士達にとって如何なる時代だったのか、彼等が求めた新時代の理想とは、アニメながら重くも洗練された題材を、見事に描き出してくれます。るろうに剣心のファンの方は勿論、単なる幕末ファンの方も一度観てみる価値はあるれっきとした「映画」です。
序ながら、るろうに剣心の中で魅力的に描かれてきた歴史上の人物達(大久保利通・斉藤一・勝海舟・・・)とは裏腹に、この物語で描かれた志士達をせっかくならもう少し力を入れて登場させて欲しかったというのも切実な願いです。西郷隆盛・桂小五郎・坂本龍馬というあまりにも偉大過ぎる三人が登場するにも拘らず、軽すぎるタッチと人物像が惜しかったです。