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甘い臭いが車内を立ち込める。それは冒険の始まりだった。
放り出された少女が向かった先は魔法の国だ。とは言っても、住民達はばんばん魔法を使うわけではない。どちらかといえば「魔法が廃れた魔法の国」だ。 出来たとしても編物や針通しの魔法。手を使ったほうが、よほど早い。
そこで少女は古ぼけた屋敷の中にいる、誰にも姿が見えない一人の家主を見出す。 彼のために魔法などちっとも使えないのに、何故かその国の一人王子の旅の同行者オーディションに出て、半ばいかさまで合格した少女は、わがまま王子と人には見えない家主、運転手のビーバーと共にその昔、国から魔法を奪った恐ろしい魔女から魔法を取り返す危険な旅に出る。
不思議な世界は統合性があるかと思えば滅茶苦茶で、けれど確かに心を沸き立たせる、まるでおもちゃ箱のように輝いている。 なんの価値もないと言い切れば確かにそれらは価値がないだろう。けれど、あらかじめ定まった価値がないならば、それは無限を秘めていることなのだ。
疲れきって電車に乗った時、うつらうつらと弧をかいてふと気付き窓の外の暗い風景にため息をつく時、この本を思い出してもらいたい。 きっと愉快な気分になれる。疲れた果てに乗った列車は異世界へと向かい、そこから冒険が始まるのだと夢想すれば・・・・・
個人的には霧の向こうの不思議な町などよりよほど面白いと思っている。他の評価が低いのは何故だろう? 最大の謎だ。
このお話は、塾帰りのちょっと疲れた女の子が主人公です。日だまり村まで電車に乗って帰る途中、あれよあれよという間に「メリィさんの旅行代理店」から不思議な旅に出されてしまうのです。
着いたのは魔法使いの国。もとの世界に帰るためには、さて、どうするか・・・
どちらかというと、あの有名な町にいた子孫の方たちよりは、身近な感じはしないのです。(そりゃ、あからさまに魔法使いではね)
今回の主人公の冒険は、自分で切り開くというよりも、前方を照らす光のように、みんなが動くためのきっかけになることから始まるようです。
なので、ちょっと物足りない・・・主人公の動きを自分に投影させて読んでいるから。
もといた世界と、不思議な世界。
もちろん最後にはちゃんと戻ってこられます。そして、また行けるようになるといいなぁと期待出来るのも、いつものとおり。
電車に乗ったとき、ふと見渡すとまばらな乗客たち。
(あの人たちも、もしかしたら不思議の世界に行って来るのかもしれない)
この本を読んで、そう思ってもいいな、と、電車に乗るやっぱり疲れたような子供たちをみて、思うのです。
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