以下、テーブルトークRPGを知っている人向けのレビュー。
そもそも世界観が独特なんだけど、私が面白いと思ったのは、そこではない(とても魅力的ではあるけれど)。
特筆すべきは「こだわり」と「簡略化」のバランスだ。
このゲームの特色である「旅歩きルール」と「竜人ルール」。
旅歩きルールはその日のコンディションや旅路のはかどり具合などをルール化したもの、竜人ルールはゲームマスターの介入をルール化したもの。いずれも普通のRPGでは任意であったり、不文律で進行されたりする部分であるが、それがきっちりルール化されている。
そして更に、一般にはかなりどうでもいいところに、徹底的にこだわっている。例えば、道具屋には普通のポーチが売っているのだが、「かわいい」ポーチを2倍の値段で買うことも出来る!
ちなみに「キモかわいい」ポーチは1.6倍。
その一方で、省けるところはかなり大胆に簡略化している。キャラクタ作製ではダイスを振らない(!)し、武器や防具も非常に大まかな区分けになっている(その分戦闘もシンプルでは有るが、楽しめるようにいろいろ工夫されている)。
こうやって特徴を挙げていくと、初心者向けのRPGと思われがちかもしれない。もしくは「ごっこ遊び」と。(実際、初心者にはやりやすい)
しかし、このRPGは「生き残るゲーム」ではない。「金を稼ぐゲーム」でも、ましてや「敵を倒すゲーム」でもない。
「旅をするゲーム」なのだ。それも「心に残る旅」を。
そして、そのための最適解を追求した結果が、これらの一見奇妙なこだわりと、大胆な簡略化に表れている。
このゲームは、もしかしたら人を選ぶかもしれない。こういうゲーム「は」楽しめないという人も、こういうゲーム「しか」楽しめない人もいるかも。
でも、こういうゲーム「も」楽しめる人は、他のRPGをプレイするときも、他の人以上に深く楽しめている人だろう。
その意味で、初心者だけでなく、RPGをやりなれた人にもチャレンジしてみて欲しい作品だ。もちろん、初めてテーブルトークRPGを遊ぼうと言う人にもお勧め。