リカちゃんが欲しいと頼んだようこに、おばあちゃんから贈られたのは黒髪の市松人形で、名前がりか。こんなはずじゃ。確かに。だってこの人形、人と心を通わせる術を持っていたのだ。りかさんに導かれたようこが、古い人形たちの心を見つめ、かつての持ち主たちの思いに触れた時。成長したようことその仲間たちの、愛と憎しみと「母性」をめぐる書下ろし「ミケルの庭」併録。
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人形と人間が心を通わせるというメルヘンチックな設定と随所に盛り込まれた梨木さんの人生哲学が
上手く織り合って、とてもさわやかな読後感を味わわせてもらいました。
様々な人形達の物語が、りかさん・ようこ・おばあちゃんの3人の手によって柔らかく解きほぐされていく・・・
ビスクドールの語る悲しいお話・・・
りかさんに「あなたは言いたいんでしょ」と促されてビスクドールが、ためらいながら囁いた言葉。
思わず知らず、涙がブワァ~っと溢れてしまいました。
アメリカから親善大使として贈られて来た人形アビゲイルを愛慕していた女の子・・・
教師の命令で人形を刺さなければならなかった彼女は、人形と一緒に自分の柔らかな心も刺し殺してしまった・・・
戦争とは、様々な形で人々に酷いことを強いるものなのですね。
人形の役目について、ようこに語ったおばあちゃんの言葉・・・人形遊びをしないで大きくなった女の子は、
疳が強すぎて自分でも大変。積み重ねて来た、強すぎる思いが、その女の人を蝕んで行く。・・・
人形と女の子って切っても切れない関係なのかも知れませんね。
そして、文庫本のために書き下ろされた「ミケルの庭」
成人した、ようこと仲間達の物語。
40ページちょっとの短編ながら、梨木さんの研ぎ澄まされた感性が光る秀作です。
スゥ~っとさわやかな気分になれる1冊ですよ。
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