「ミー」こと中島美代子の半生が赤裸々に綴られた中に息づく、作家中島らもの素顔。
超がつくほどのお嬢様で、全部オーダーメイドの服を身につけ、どこまで歩いてもずっと自分の家の庭が続くようなところで自由奔放に育ったミー。
縛られることも縛ることもよしとしないその感性は、自分に正直に生きようとする彼女の率直すぎる価値観から強く伝わってくる。
中島らもとの想像を絶する夫婦関係。その時々の夫の愛人からの罵声。そういったことがおどろおどろしくなく、また一方的でもなくあっけらかんと公平に書かれている。
貞操観念の希薄さに注目してしまうと、破天荒なくせに繊細で真面目で優しく、その上恋愛至上主義者である中島らもを生涯にわたって変わらず愛し続けることの本質を見失ってしまう。
らもが見た風景、そしてミーが見た風景。稚拙な文章の隙間にありのままの中島らもの姿がぼんやり見える良作。