なかなかページが進まずに途中で読むのをやめようかと何度か思った。
会話が多く、人物像が薄っぺらく感じられた。人間として当たり前に不快感を感じる出来事であっても小説なのだから心の動きを文字にして読ませてほしい。○○だから怒った、泣いたでは感情移入しづらい。
一番興味をひかれた呪術に関してもおどろおどろしさがまったくない。呪いにかかわって生きることを決めたときから覚悟はしていたという割に呪いによってもたらされる怪奇現象のようなものが一つもなく、何十年たっても触れるだけですさまじい憎悪を感じたという呪術符が単なる物語を進めるためだけのアイテムになり下がっている。
途中、何人かの人たちに「秘密にしておきたい出来事」を聞き出す場面がある。そのたびにヒロイン真由の泣き落し?「祖父の真実が知りたいんです!お願いします」と言う一声でペラペラしゃべりだすのも違和感を覚えた。
虐待されていて一度は完璧に壊されたはずの真由が虐待されていたはずの父親にひどく挑発的に怒鳴っていたのもどうなのか。
いくら祖父が立ち直らせてくれたと言ってもこんなに喧嘩上等的な態度を取れるのか。主人公にも虐待児を助けられなかった「悔むべき」過去をとってつけたように持ってくるし。
そして喧嘩上等と言えば途中で若者に真由が「わたしの顔に何かついてるかしら」とヤンキー的な因縁をつけたときには鼻で笑ってしまった。
「気の強い女を演じている」と作中で真由自身が言っているが、その演じ方は鼻につくレベルで全く好感が持てなかった。
冒頭に書かれていた作者の言葉が一番感情が伝わってきてよかった。