この本は,非行のあった女子少年の更生・社会復帰のための施設である青葉女子学園における矯正教育を紹介した本であり,また同時に,教育とは何かを考えさせてくれる本です。学園で行われている教育の姿を「表現教育」の視点で再構成して“表現”しているとも言えましょう。
同学園では,24年前から続いている創作オペレッタを通じた教育を始め,和太鼓演奏や朗読を通じた教育など,様々な表現教育が実践されていますが,本書からは,それらへの取組みによって,成長し変化していく少女たちの姿が見えてきます。そして,学園を支えている教官総出で執筆した「コラム」が全編にわたってちりばめられており,学園生活の日常の一コマ一コマに,教官の「思い」が,綴られています。
また,同学園の表現教育を支援し協働している大学教授や民間協力者,また現役・OB教官の座談会の記録においても,これまでの取組みの背景や意味が掘り下げられており,興味深い読み物となっています。
教育とは,「生活する」という総体的・総合的な営みに根ざして教え・学ぶという活動であり,次代を育て,また先行世代から生き方を学び,そして生命や文化を繋いでいく壮大な活動であります。少年院の教育もまた,その例外ではありません。
少年院の矯正教育を,元非行少年のために必要な教育,という限定詞付きの視点からではなく,その対象となっている子どもたちは,私たちの後継世代であると同時に,今この世界の一部を支えている私たちの共生者でもあるという視点に立って,この教育活動そのものが,私たち先行世代にとっても必要な,それなくしては生命を繋いでいくことが出来ない,重要な意味を持つものであると,改めて認識しなおしたいと思います。
ちょっと思い入れを前に出しすぎたかもしれません。教育を考えている人,学んでいる人,志している人たちに,是非読んでいただきたいと思い,強く推薦します。