2009年にNHK総合/BS1で放送された、仏日共同制作によるドキュメンタリー作品のブルーレイBOX(三枚組)です。
これはWW2当時のカラー写真や、現存する兵器・軍服等を参考に一万を超える色情報をデータベース化し、映像1フレーム毎に細かく色付けをしていく……という気の遠くなるような作業を経て完成した文字どおりの『カラーのWW2』です。事前に放送は観ていましたが、こうしてブルーレイという形で観ると、改めてその映像に圧倒されます。
これまで見てきたWW2の映像は当然ながら殆どがモノクロで、画質もぼやけ気味でしたが『当時の映像というのはそういう物だ』という認識があったので気にはなりませんでした。しかし、それが膨大かつ緻密な作業の末、最新のフォーマットに載ることで、印象はまったく違ったものになります。知ってはいるが現実感の薄い『教科書に載っていた出来事』が、『数十年前に、実際に起きた事』として、自分の中でアップデートされてくる感覚、と言えば良いでしょうか?
アルデンヌを駆ける2号戦車、急降下するスツーカ、瓦礫と化したスターリングラードの死闘……これらの圧倒的なリアリティ(実際に起きたことなのだから矛盾した表現ですが)は、歴史というものが切り離された過去ではなく、今この瞬間と地続きなのだという当たり前の事実を、改めて認識させてくれます。押井守監督作品をはじめ、数多くの劇伴を手掛けてきた川井憲次氏による音楽も素晴らしい。
近年のNHKの歴史ドキュメンタリーは、一方の当事者に過剰に肩入れして番組としてのバランス感覚を喪失している物が散見されますが(特に東アジア関連)、今回は国際共同制作ということもあり、見ていて極端に不自然な点はありませんでした。
ただ、ミッドウェー海戦の描写で『多数の死傷者を出し、戦列を離れ基地に戻ろうとしていた空母ヨークタウンが、日本の伊‐168によって撃沈された』と、まるで無抵抗の病院船を撃沈したような表現(しかも、そこに笑顔の潜水艦乗組員の映像をわざわざ被せている)をしているのは気になりました。とはいえ、アメリカ政府による在米日系人への弾圧もきっちり描いているので、ドキュメンタリーとしてのバランスはギリギリで保っているように思えます。フランス製作ではありますが、過剰な『ドイツへの憎悪』も見られません。
色に関しては『完全にこれが正解』とは言い難い部分もあるのでしょうが、WW2を『事実』としてより鮮明に認識できるという意義も含めて評価されるべきと思います。兎も角、多くの人に見てもらいたい労作です。安い買物ではありませんが、内容を考えればまとめてBOXで購入する価値は十分にあると思います。