本書は、「雑談集」と自称していますが、むしろ学校の授業のようです。
というのは「講演」というほどかしこまってなくて、聞き手に分かり易くかみ砕いて滔々と語りかけているからです。
あえて言えば、ホームルームで先生が語る、人生論や社会情勢論のようだと思われました。
「共同幻想論」などの原理論が直接的に語られることはなく、「吉本理論」を学ぶ「学習書」とはなっていません。
ですから、一般書として読まれ、価値判断されるべきでしょう。
この意味で私が感銘を受けたメッセージを抜き書きします。
>「死だけは別問題で、自分のものではないと考えたほうがいい。
>老人で病気になったというところぐらいまでは自分のものだけれども、
>あとは自分のものではないと考えのほうがいいんだ」というのが親鸞の考え方です。
(76頁)
>生きている限りはつらくても苦しくても、
>生きる方向に矢印を向けなければ人間の生き方じゃない
(230頁)
死生観の深まりを感じます。
なお、余談ですが、「あとがき」に
>脳の動きはグーグル・アースの人工衛星のように今のところフル回転している
安心もし、うれしくもなりました。
この「グーグル・アース」と言うところがいいですねえ。
そして、この「あとがき」は次のように締めくくられます。
>そのうち世界中の地域の観念形態(世界思想)の働きが
>ある大きな同一のかたまりと見えるところまでいけたらと願望している。