文明国の住民は、食べ物を調理・加工し、体外で消化しやすくさせてしまうことを過剰なまでに発達させてしまったので、食べ物をよく噛まなくなった。
従って、唾液の分泌量もその質も低下して、胃腸障がいを日常的に起こすようになった。
その上、「」食前に、胃腸によく効く消化剤を」などというCMにのせられて薬を毎日服用して、心身の調子を乱している。
こんな人は、一口50〜100回を目標に、食べ物が口の中でドロドロになるまで噛むことで、食事を大脳で味わうことが出来、体中のホルモン、酵素、消化液分泌機能が活発になり、栄養の消化・吸収が円滑になるという、他のほ乳類にはない、最も人間的な有り難い機能を復活させることが出来る。
咀嚼は、単に生理的な問題ではなく、精神や情動的意義をも含んだ人的行為として考えるべき機能である。
歯並びと子育ては関係していて、歯科医からも「長男長女に比べて、下の子の方が歯並びがいい。」とはよく聞く話。
はじめにできた子は、重湯やお粥など手をかけて食べさせていたが、下の子には上の子に手間がかかってそれができない。
つまり、下の子には上の子より硬いものを食べさせていた可能性があるのではないかと思います。
柔らかい離乳食を食べさせた結果が、顎の骨の未形成、歯並びの悪さにつながっている可能性もある。
受け口や下あごの未発達も、片方ばかりで噛んでいたり、シッカリと噛まなかったりの後天的な理由によるものとされている。
噛む効用
噛むことで神経性ヒスタミンの生成が促進され、筋肉や肝臓に貯蔵されている糖分が血液中に放出され血糖値が上がり、それらが満腹中枢に働きかけて食べ過ぎを防ぎ、肥満を防止。
酸素消費量が急上昇して身体が温まり、エネルギー代謝を促進して、内臓脂肪や下腹部・お尻・腕の周りなどに多い白色脂肪を分解する。
おいしさがよく分かるようになり、味覚が発達する。
あごの骨がシッカリとし、その周りの筋肉も発達するので、言葉の発音がハッキリするだけでなく、表情が豊かになり、シワの目立たない 若々しい顔が維持できるようになる。
脳が活性化し、脳が発達する。
虫歯や歯周病になりにくくなる。
唾液が沢山分泌され、その効用によって癌を予防できる。
胃腸の負担を軽減し、働きを促進する。
全身の体力が向上し、全力投球で仕事や勉強に当たれるようになる。
一時記憶のメモリーである海馬が活性化し、神経細胞も増加するので、記憶力がアップ、認知症の改善防止に効果がある。
直感や情緒に関係する右脳の前頭前野を養い、優しさ・独創性などの人格形成がなされる。
脳の扁桃体がストレスを不快情報として捉えにくくなり、受けたストレス刺激を結果的に軽減する。
緊張をする場面で、ガムを噛めば緊張を和らげる。
反対によく噛まないと・・・
顔の筋肉が衰え、眼球を収めている眼窩の形が変わったり、ピント合わせをしている水晶体が調節機能不全をおこし、近眼になる。
食物が胃で消化されるのに時間がかかり、強い酸性をもつ胃液がその間中自分自身の胃壁にも負担をかけることとなり、結果、胃弱や胃腸炎などの消化器疾患を引き起こす誘因となり、胃の働きを弱める。
更に、噛むことは唾液の分泌を促進するので、唾液の効能についても触れている。
消化機能を助ける。
刺激物を食べた際に、分泌量を増やすことで刺激を弱める。
絶えず口の中を流れて、歯や粘膜の汚物を洗い流し、口腔内を清潔に保つ。
虫歯菌などが作った酸で溶かされた歯の表面のエナメル質を、再び歯の表面に戻す。
細菌の発育を抑制して体を守り、口臭も予防する。
刺激物をオブラートのように包み、飲み込みやすく、胃に負担をかけないようにする。
発癌物質や活性酸素を、酵素で消去する。
味覚を高める。
細胞を増やし、体が若返る。
顔の皮膚細胞を活性化して、張りのある美しい肌を保つ。
精子数・生殖能を高める。
20代の学生に弥生時代の食事である玄米のおこわ・カワハギの干物・ナガイモの煮物などを食べて貰ったところ、現代の1食620回の咀嚼回数・食事時間11分を遙かに超え、3990回・51分もかかった。
現代は、弥生時代の1/6、1420回・22分の戦前と比べても半分となっている。
よく噛むとあごの骨の表面で骨を作っている骨芽細胞がカルシウムや栄養を積極的に取り込もうとして、骨を作る作用が活発になる。
反対に噛まないと、あごの骨と歯を繋ぐ役割を果たしている歯根膜細胞が働かなくなり、歯がグラグラしてくる。
本書ではこのような効用をあげる食事法として、1口30回、1食1500回噛むことを奨励している。
読者の多くはそんなに噛んではいないだろうが、このような効能を知れば、次の食事からはよく噛んで食べる気になるのではなかろうか?