学派や著者の考え方にあまり影響されないスタンダードな臨床心理学のテキストは、実はあまり存在しなかった。また、大学の臨床心理学の講義も多くは、教員の立場によってその構成が大きく異なり、また、ケース検討に時間がさかれてしまって、知識として体系的に臨床心理学を学んだり、大学院受験の準備をするのは、なかなか困難であった。本テキストは、基本的にはエビデンスベースドの立場によってたっているものの、さまざまな分野を網羅的、かつ的確、簡潔にまとめており、すばらしいものに仕上がっている。とくに臨床心理士をめざす学部生の勉強用、大学院の初年度などの知識整理用にはおすすめである。もちろん、一般知識人にも有用であろう。個人的に欲をいえば、もう少し、テキストに徹して、最後??用語解説と(大学院受験用に)テクニカルタームの英文和訳一覧を追加して欲しかったほか、アセスメントの検査法のところをもう少し(テストごとに)詳しくして欲しかった。