どの世界にも、事情通という人がいるものですが、その世界に属している関係で話せることが制限されがちです。
著者は、マイネル軍団の総帥、岡田繁幸氏の弟子という方です。
変わった経歴の持ち主で、ニュージーランドに居を構えバブルに湧いた日本人観光客相手の事業で成功し、そこから競走馬の牧場経営に乗り出しました。
同じ頃、岡田氏がラフィアン・ターフマン・クラブを立ち上げています。
ニュージーランドに馬を買いに行く日本人は殆どいなかったのですが、岡田氏は毎年来ていてそこで交遊が始まりました。
岡田氏には雇われたことは一切ないにも関わらず、あらゆる場面で岡田氏の代理を務めています。
それ程お互いが信頼しきっているということなのでしょう。
コスモバルクのシンガポール・インターナショナルカップも現地にいて、五十嵐騎手と二人で美酒を飲み干したそうです。
外国人騎手の通訳・代理人などもやっています。一言で言えば、馬が好きでたまらない人のようです。
金銭目的ではなく日本競馬界きってのホースマン・岡田氏や競馬界にいる馬好きの人たちとの交流を楽しんでいるように見受けられました。
そういうバックグラウンドの持ち主ですから、内側から見た競馬界を書けたのでしょう。
恐らく、競馬ファンなら結構噂で耳にしていることばかりではないかと思います。
日本の競馬界の閉鎖性、地方競馬と中央競馬の意味不明の断絶。馬の売買システムなど。
なかなか競馬界の中を覗き見ることはないですから、やっぱりそうか、とか、こういうことだったのか、と思わせられる情報が含まれています。
ただここに提示されている問題は随分以前から指摘されていることなのですが、一向に前進していない、という状況もわかり、重い気分にもさせられました。
「聖域」というのは少し大袈裟ですが、読む価値はあると思います。