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27 人中、24人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
すべては「ゆれる」,
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レビュー対象商品: ゆれる [DVD] (DVD)
兄弟間の感情のゆれ、記憶のゆれ、立場のゆれ、存在のゆれ、それらが展開するにつれ、ゆれながら徐々にゆがんでいく。 言葉少なに映像でみせる内面描写は見事だ。 見事だが、各自の内面は幾重にもフィルターがかかり、 観る者に明快に提示されない。 それゆえに、観る者の深読みを誘う。 橋の上で起きた「真実」が兄弟の視点や証言によって変わるうえに、 彼らの互いに対する猜疑心や深読みから生じるやりとりや内心の変化は、 橋の上の「真実」同様、観る者にとって、二重三重のベールがかかり、 最後まで様々な解釈を許す。 途中で証言をひるがえす弟は写真家だ。 幼児期ならともかく、目にした一瞬をフィルムに焼き付けるプロが、 記憶をたがえるだろうか。兄弟の確執という負荷がかかり 記憶がゆがんだにしろ、意匠返しとして偽証したにしろ、 それらはまるで、過去を焼き付けたフィルムの現像時に 左右が逆になったり、明暗が逆になったり、 見せたい(見たい)ものを強調するために 不要な箇所を切ってトリミングするのとも似ている。 弟の証言は「真実」であれ、「偽証」であれ、 それは兄とともに奈落へ落ちる決意であったろう。 殺人者の弟となり、築いたものを失った様が7年後の彼の殺伐とした部屋、 アシスタントの気配もなく、いかにも小さな仕事の顧客との 電話での腰の低い迎合した言葉に現れて切ない。 兄の出所時、弟が泣きながら叫ぶ、「兄ちゃん、家に帰ろう」 これは兄と再び関係を構築しようとする弟の愛情の発露ではある。 しかし、家に帰る兄を待っているのは、出所前の生活以上に 過酷で「つまらない」日常だ。 殺人者のレッテルを貼られ、頭を下げ続けるガソリンスタンドの仕事と 認知症を発症した父の介護、生まれ育った廃れた町のしがらみ…。 果たして、兄は帰るのか。 出所し、甲府駅行きのバスに乗ろうと小走りになる兄。 それは、彼が人生で初めて得た、「つまらない」日常から脱し、 新しい世界へ出る自由の瞬間ではなかったか。 例えばラストの兄の笑みの意味。 これひとつとっても、いくつもの解釈が成立し、それはとりもなおさず、 人間の存在から万物の事象まで、すべてが絶えず「ゆれる」ことを 示唆しているように思えてならない。
13 人中、12人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
カリフラワーズの楽曲もピッタリの奥の深い心理劇,
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レビュー対象商品: ゆれる [DVD] (DVD)
人は思い入れや感情の違いによって同じものを見ても必ずしも同じように見えたり、記憶したりしていない。そんな人間の心理を題材にしたのがこの作品だ。東京に出てカメラマンになって成功したが、父親に認められていない弟(オダギリジョー)と地元に残り真面目にガソリンスタンドを営む兄(香川照之)の兄弟。弟は真面目に地元で働く兄や父親に負い目を感じ、兄は自由に行動する弟をどこかでねたましく思う。そんな二人の心がある事件を通して明かになり、二人の間にひずみが入る。 兄が想う女性がゆれる橋から転落したのは事故か故意か。同じ状況を見ても心に残る映像はそのときの感情によって変わってくる。真実は何なのか最後までそれがわからず、ゆれる兄弟の心を通して話は二転三転していく。そこがこの作品の最大の魅力だろう。 観る者はオダギリジョーの視線で物語の進行を見ていくが、途中どこかで香川照之の感情に惹かれていく。それは香川の演技の素晴らしさか、監督の演出の妙なのか。どちらにしても、最近ではなかなかお目にかかることの出来ない素晴らしい心理劇。CGを多用や派手な演出が多い今の時代に人間の心理に真正面からぶつかって行くこの作品は拍手喝采もの。 重いテーマながら観終わった後にどこかほっとする感覚も味わえる作品だった。 オダギリジョーの「兄ちゃん 家に帰ろう」と叫ぶ声(弟の想いが伝わったのかはわからないが)の後に流れるカリフラワーズの「うちに帰ろう」という曲もこの作品のテーマにピッタリで最高だった。 この作品の結末をハッピーエンドと捉えるか、引裂かれた兄弟の心を描いた悲劇と捉えるかは観る者の感情に委ねられる。そんな奥の深い作品だった。
38 人中、33人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
香川照之の怪演(あえてこう言わせてもらいます)が見事。,
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レビュー対象商品: ゆれる [DVD] (DVD)
最近みた邦画の中では、抜群に完成度が高い映画でした。ジャンルとしてはサスペンスですが、テーマは人間の内に秘めた愛憎と家族の絆です。事件の記憶が明らかになればなるほど、その都度、真相が二転三転していくという、「羅生門」や「英雄HERO」のようなスタイル。主人公のオダギリジョーは、兄が幼馴染の女性を渓谷のつり橋から転落死させてしまった事件について、すこしづつ記憶を鮮明にさせていき、結果として彼の証言が兄の裁判に重大な影響を及ぼします。事故か事件か。このサスペンス部分が非常に面白い。 しかしそれ以上に見所となるのが、お互いの葛藤をぶつけ合う登場人物たちのやりとり。オダギリジョーもハマリ役ですが、兄役の香川照之は「一見ひとあたりの良い素朴な青年」が実はそうとう"腹に据えかねている"という役どころを完璧に表現してると思います。事件のシーンや、その後スタンドで何かが切れてしまう場面なんかの怪演は見もの。兄は何に対して葛藤を抱えているのか、そしてその事実に直面した弟はどういう決断を下すのか。非常に考えさせられました。 流れる川の音、そよぐ草木、事件の発端となったつり橋、そして人の心や記憶といったすべての物の不安定さを表したタイトルも秀逸だと思います。本当にいい映画を観ました。 ただ、検事役のキム兄だけは、ちょっと浮いていたかな…。
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