ある講演会のゲストでちきりんが登場するとのことだったので、事前に買って読みました。ちきりんは匿名ブロガーなので、講演会ではお面を被って登場してました。
本書『ゆるく考えよう』の文章は、ちきちんのブログ「Chikirinの日記」(http://d.hatena.ne.jp/Chikirin/)から時事問題を除いて、表現にカドやトゲのあるところを丸めたものと思えばいい。「おちゃらけ社会派」を名乗っているけど、その「おちゃらけ」の方を抜き出してまとめたエッセイ集という感じです。なので、ちきりんのブログの読者でも、時事問題についての(正しいと思うかどうかは別にして)図解によるシャープな論点整理みたいなものを面白いと思っている人は、あまり読む意味はないでしょう。
「とにかく頑張る式」の生き方をやめて、もっとラクに過ごしましょうというのが本書のテーマらしい。 「頑張れば報われる」というのは多くの場合ウソなので、「好き」「楽しい」「ラク」を優先した方がうまくいくんじゃないかと。
目標を高く持ちすぎるのをやめようとか、多数派はべつに正しくないので無視しようとか、経営者も「ダメだ」と思ったらすぐに間違いを認めて撤退しようとか、保険はじつは人が思ってるほど必要ないよとか、知識や人脈を増やそうという努力は無意味だとか、海外旅行をすると自分がいかにちっぽけであるかが分かるよとか・・・色々書いてある。
色々書いてあって、誰向けの本なのかと聞かれると良く分からないので、書店ではたぶん「人生・生活」みたいな棚に並んでるんだろう。
出自がそもそも個人のブログなので、読みたきゃ読めというスタンスであり、「誰向けの本か良く分からない」というのはある意味当たり前です。でもそれでも、強いて言えば誰向けだろうか?というのはけっこうポイントになる気がします。
ちきりん自身は、一流大学を出て、バブル期に金融機関に就職し、アメリカに留学してMBAをとって、マンションのローンも払い終わったので独身(たぶん)だけど40代で退職してブラブラしているというエリート階層の女性のようです。で、本書は「エリート向け」というほど限定的ではないものの、スタンスとして「ある程度余裕のある人たち」の世界から意識的に抜け出そうという気は全くないので(※べつにそれが悪いと言いたいわけではないです)、「ゆるく考えよう」と言っても、もともと余裕のある人たちを束縛する最後のクビキ=「プライド」みたいなものを捨て去ろうという程度のもんだと思った方が良いでしょう。
なので、「並みの人間がちきりんのように『ゆるく』考えてたら社会から脱落して死ぬだけでは?」というツッコミは当然あり得ると思います。