夏の燦燦と照りつける陽射しのような前田氏の声。改めて接してみると、TUBEが他のどのバンドも真似できない夏の専売特許を成立させうるのは、バンドの開放的な音楽に加えて、やはり彼以上に太陽を感じさせる熱いVo.はいないからだと実感します。熱く雄雄しく太い響きというだけで稀有な存在ですが、尚且つからっとした純度で焼け付く声というのは素晴らしいですね。そしてだからこそ夏の空や海を想像させ重ねたくなります。大地を抱くようなスケールで、風にも太陽にも空にもなれるのですから。
作品は、期待を裏切らない普遍的なTUBEを提供しています。例えば1はいきなり海の青さをイメージさせますし、4「Get back~」はTUBEメロディの綺麗さです。また心地よさではムーディな旋律がうねりながら表情を変え、高音が心地よいツボを刺激する7「晴れてタムレ」が印象的でした。ジャケ写のような拡がりゆく海を白い波のシュプールが横切ってゆくような爽快さは8「Kona windに吹かれて」。一方9「暗闇をけとばせ」は太陽と埃にまみれそうなHR。そのおかげで10「海よりも深く 空よりも大きく」が非常に涼しく感じますね。前田氏の太くパワーのある声が気持ちよく彼方まで響き渡り水平線にすーっと消えてゆきます。
他方、日中の放熱の名残を夕日が優しく包みこむようなバラードも彼らの魅力ですね。その時にこそ前田氏の声の純度は黄昏の透明さをみせます。11「今日からずっと」のメロウさはまるでマイケル・ボルトン「男が女を愛する時」のような夕日のロマンチックさ。因みに夏には題名が意外な6「雨の日の過ごし方」も回想バラードです。ゆっくり回ってゆく旋律と氏の情熱的なフォルテが感情を表すよう。雨は続く7に展開してゆきました。終曲は彼らのスタンスからのメッセージソング。あえて抽象的にぼかし人や時代、環境、様々なものへ投影できる歌です。