見終わった後二度と見たくないと思った。
開けてはいけない「パンドラの箱」を開けてしまったと後悔した。
1週間くらいこの映画のことが頭を離れなかった。
でもどういうわけかしばらくして「この映画に出会っていなかったらもっと後悔したんじゃないか」という思いが押し寄せてきた。
決してこの映画の主役である奥崎氏に同情することや共感することは出来ない。彼のやっていることは単なる暴力の行使であり、間違っている。取り付かれたかのように「歪んだ使命感」で戦争犯罪者を独りよがりの方法で断罪していく奥崎氏は許されない。それはわかっている。でも戦争が日本に落とした強大なトラウマ体験を自分一人で背負い込み、清算しようともがく様は見ていて心を打たれずにはいられなかった。負の遺産を直視しようとしない日本国家につばを吐きかけることでしか自分が生きる意味を見出すことが出来ない奥崎氏は紛れもなく戦争の被害者であるのだから。
いわゆる「戦争を知らない世代」の私はただこうした記録映画を見ることでしか戦争を追体験することが出来ない。今イラクで起きている戦争を安易に正当化したり、否定することは出来ないが、戦争がまた「第二の奥崎氏」を生み出してしまうとしたら、それはとてもやるせないことである。