後書きにも書かれているように、散発的に描かれてきた「山の主様」シリーズをまとめたものです。
作品数にして八割方、ページにして半分ほどは、雑誌を買わない私も色々な単行本に収録されているのを読んでいますので、重複を厭う人には“売らんかな主義の編集本”の誤解を受けてしまいそうですが、この本のメインは、なんと言ってもタイトルにもなっている書き下ろしの「ゆきのはなふる」です。
あとがきでは既出の作品だけでは1冊の分量に足りなかったからと書かれていますが、この100ページを越える力作、もちろんページあわせのための穴埋め作品ではありません。
自ら動く人形(ひとがた)を拾ってしまった、雪師とその一門。なぜ捨てられていたのか、誰が作り捨てたのか。ここには、前半の「主様シリーズ」の軽いノリはなく、強いテンションを保ったまま、物語は進んでゆきます。
読後にいろいろ考えたこともありますが、ここには書きません。しかし、ラストシーンと高い密度に感動したことだけは、書いておきたいと思います。長く連載できるだけのストーリーをあえてこの長さに凝縮した作家を褒めるべきか、この作品を連載させなかった(できなかった?)出版社(編集者)の不明を糾弾すべきか。いずれにしても素晴らしい作品です。