威風堂々、女王として君臨してきた主人公が老境に至って突然「読書」に嵌る。
「公務」における形だけの「権威」を期待する周囲にとって、片時も本を手放さない女王の行動は理解しがたく、業を煮やした側近たちの妨害工作が始まって・・・と言う物語。
「英国女王エリザベス二世」という言葉はどこにも出てこなかったと思うけど、状況証拠から言うとそう言う事になるのかな?ノンフィクションのはずも無し、 フィクションにしては具体的で・・・ちょっと首を捻りながら読み進むことになります。ところが・・・途中からそんなことはどうでも良くなってくるのです ね。
女王と忠実なる側近のたった二人。彼らと、「読書の楽しみ」を理解できない周囲との間の「戦い」の様子が、控えめなユーモアとほろ苦さを交えながら落ち着いた筆致で綴られていて読ませます。いるよな・・・こんなオッサン連中・・・と妙に共感を覚えるのです。(笑)
さすがに「大人」向けの小説です。大きな展開もなく淡々と終わるかと思ったら・・・権威主義者達にとって驚愕の結末があくまでも静かに語られて・・・唸りますね。(汗)
王 室の人間という特異な存在が主人公ですが、そんな人々も一個の人間として生きる為には「戦い」がある。たかが「読書」が、飾り物の「女王」を「真の女王」 に変えていく。そんな驚きの経緯が語られる、実に「あの国」らしいお話です。
フィクションでありながらそうとも言い切れない、「臣民」に愛されるというこ とがどう言うことか?という問いに対する答えのようなお話かな。