「食べ物」にまつわる江國香織さんの最新エッセイ集。
クラシックで美しい装丁にまず惹かれます。
題名の「やわらかなレタス」はピーター・ラビットの物語にある言葉から、
また海外で、そして日本で実際に江國さんが味わったさまざまな食べ物、
「温かいジュース」への渇望やお正月に寄せる感慨、
ジャック・ケルアックとバローズの作品にまつわる話など、
さまざまな「幸福な食」のエピソードが優しく繊細な言葉で紡がれます。
あまたある「美食エッセイ」とは一味違って、
物事の本質をはずさない江國さんらしい穏やかな文章の数々。
生きることが「食」を抜きに語れないのなら、
「幸福な食」とはとりもなおさず「幸福な生」を意味するのでしょう。
疲れたときなどに手にとって、しばし彼女の作り上げた言葉の世界に
浸ってみたくなるような、珠玉のエッセイ集だと思います。