やなぎ氏には昔、某ギャラリーのパーティーでお会いしたことがある。その時、彼女はサイボーグのように無機質なキメキメのメイクをしていらっしゃっていて、自分自身の見た目も一つの表現媒体として徹底しているんだなあと、という風に感心したのだが、同時に彼女の作品に流れる「女性であること」への批評的視線が、そのまま彼女の日常から流れてきているものだということを強く感じたのを覚えている。祖母と母に宝塚歌劇団員となることを期待されながら育てられたというエピソードが本書の解説で触れられているが、母系家族で育てられた彼女にとって「女であること」への関心というのが、凡庸なフェミニズム的理屈よりももっと深いところから発せられているということに今回、本書に目を通して気づかされた。これが僕の収穫である。
ここ数年、「老い」に感心を寄せた作品群を制作されているが、まだ40代になったばかりの彼女にとって、まだまだ「老い」を巡るイマージュは広がっていくはずであり、今後が楽しみだ。
なお、本書で彼女は「銀河鉄道999」のメーテルの恰好をしている。「カフェ・ロッテンマイヤー・プロジェクト」でハイジのロッテンマイヤー女史をモチーフにしたりしていることを踏まえると、何かと昭和アニメの影響を受けている人でもあるようだ。