自分はそれなりに断熱・気密については勉強していたのですが、残念ながらこの本の紹介する赤レンガ構造には???ばかりでした。15ページには断面図がありますが、室内から順に、石膏ボード12mm、柱(もしくは壁体内の空気50mm+硬質ウレタン50mm)、構造用合板9mm、透湿防風シート、通気層21mm、スーパー遮熱断熱シートなるもの4mm、通気層30mm、レンガ(配筋入り)70mmとのこと。
つまり、赤レンガとはいうものの、実際には在来工法の外側に単にレンガを詰んだだけで、実質、木造住宅です。それに高断熱と言いますが、硬質ウレタンが50mm入っているだけで、別に高断熱というほどでもなく、どこにでもあるごく普通の断熱です。高気密かというとそうでもなく、気密性に寄与するのは構造用合板9mmとその外側の透湿防風シートだけなので、果たしてこれでどの程度の高気密が得られるのか非常に疑問です。赤レンガが気密性を増す、というわけでもなく(なぜなら赤レンガの内側に通気層がある)、では具体的に隙間相当面積が0.5cm2/m2程度出るのかというと、そんな数値はどこにも出てきません。Q値もC値も出てきません。1000度で焼いた耐火煉瓦をうたい文句にしてますが、それはそとからの火災に対して有効ではあっても、部屋側に貼り付けてある硬質ウレタンは燃焼すると一酸化炭素だけでなくシアン化水素(つまり青酸ガスね)が出るので、室内での出火には意味がありません。そもそも家を取り巻くレンガは基礎コンクリートに乗せてるので縦方向の荷重は良いとしても、横方向については木の柱や間柱にそのまま取り付けてあるので地震の時はレンガの重量がそのまま木造構造に掛かることになり、筋交い等への負担も当然その分大きくなることが予想されます。
そもそも、オリジナル工法は後々になってから修復が困難であることが多く、赤レンガをぐるりと囲った場合は壁体に異常が発生しても外側から壊すわけにはいきません(だって鉄筋入りのレンガが邪魔するから)。この本は赤レンガはメンテナンスフリーと言い、ついでにエコ、ロハスを謳っていますがそれもいろいろ突っ込みどころがありすぎて書ききれません。赤レンガを作る際には当然石油を燃やして1000度を出すわけで・・・。ちなみにスーパー遮熱断熱シートなるもの、その両側に通気層があるので肝心の冬はそもそも断熱材になりえないと思うのです(だってシートは表も裏もいつも冷たい外気に触れているのだから)。結露という点では透湿抵抗など基本的なところは大丈夫そうですが、この本、一通り全部読むと分かるのですが、2/3くらいは著者の精神論で構成されています。ついでに付け加えると、この本が「開発されました」などと絶賛している液体ガラスは、この本の著者やその会社が開発したのではありません。液体ガラスを木材に塗ってみたのはこの会社のようですが、木材に難燃剤を塗ってしまうのですから、当然リサイクルも期待できません。
自分は建築士でもなんでもありませんが、多少なりとも建築を勉強した人なら、つっこみどころの多さに戸惑うのではないかな。
逆に、建築を勉強する気も特になく、なんとなくイメージで「素敵な家にしたいな」というくらいの人には楽しい本だろうと思います。なぜなら、論理的な説明の記述がほとんどないからです。
いろいろ述べて申し訳ありませんが、この本が賞賛されることがどうにも自分には理解できないのです。