近年、文房具趣味はいくつかの良質なWEBサイトを中心にして、わりと健全な形で盛り上がってきたように思います。それはやがて本の世界にも飛び火し、数々のムックや単行本が並ぶようになりました。ここ5年ほど、個人的に文具が好きで見てきましたが、これらのサイトや本作りに携わる人々の間には、「一時のブームに終わらせないためにも、急がずじっくりいこう」という無言の共通認識があったように想像します。勝手な思い込みかもしれませんが、サイトや本の行間から、それが読み取れました。
そこに突如現れた本書の著者は、その空気を読め(読ま?)なかったのか、いきなり自ら「評論家」と名乗り、時間をかけてファンを増やしてきた先輩サイトの手法をほとんどそのまま取り入れたWEBサイトまで作ってしまったんですよね…。
それが「悪いこと」だと論証することはできませんが、本書を読んで、やはりこれだけは言わないといけないと思いました。すなわち「せめて評論家はやめましょう」と。だって、書いてあることはどう読んでも雑誌の商品紹介記事以上の深みはないし、ものの見方に個性があるわけでもありません。これがステーショナリー「ファン」の書いた本なら、本自体は写真もキレイだし、微笑ましくてオーケーなような気もするのですが…。